スリランカにおける「スタートアップ・エコシステム」の今後

前回は、スリランカにおける「スタートアップ・エコシステム」の実際について取り上げました。今回は、「スタートアップ・エコシステム」の今後を考察します。

活発なエコシステムを構築するための土台がない

スリランカには、それぞれのステージを対象にする投資家が存在する。しかし、起業家が求めているのは資金だけではないので、満たされない部分もある。成功した投資家は、専門知識を持ち、ネットワークへのアクセスを提供し、起業家の指導者になれる。

 

「ビジネスに投資したいと思えば、欠けているものが何であるか把握し、それを提供することができる。現在は皆が同じことをしようとしている」とGnanam氏は述べる。支援的な規制の枠組みと失敗の許容も重要な原動力だと述べた。

 

Gnanam氏は、現在農業に焦点をあてた初期段階のスタートアップに資金や専門知識を提供することのできる組織や専門家がいないと指摘する。スリランカには資金提供者以外の、活発なエコシステムを構築するための土台はまだない。失敗の許容、持続するサポート、他の機関との結びつきといった特徴は弱い。ここでの機関とは、大学等の教育機関、政策決定者、新興企業が製品やサービスを販売する市場、企業が交流するコミュニティが含まれる。

 

スタートアップ・エコシステムはまだ成長段階なため、多くの結びつきは弱く、存在しないものもある。スリランカ国内最大のオフィスレンタルを行う不動産ベンチャー「Orion City」の創設者であるGnanam氏は、今日のスタートアップがスリランカの将来の経済の担い手になるため、エコシステムの足りない部分を特定することが重要だと主張している。

 

現在スリランカに欠けているのは、エコシステムを活性化し、足りない部分すべてを埋めることができる解決策だ。ライドシェアやオンライン旅行予約のようなスリランカのスタートアップは、投資家から収益の何倍もの事業価値評価をされており、ここでビジネスを迅速に拡大することが可能であることが証明された。

 

スタートアップの初期段階に投資しているCrowdislandのChalinda Abeykoon最高経営責任者は「最も成功したスタートアップでさえ、外国人投資家を引きつけることはできなかった。我々は外国人投資家と提携しようとしたが、彼らの最低投資額は約100万ドルだ。企業が20万ドル(約3,000万ルピー)を調達できたとしても、次のラウンドでは100万ドルを調達することはできないだろう」と語った。

大手2社が「アクセラレータプログラム」を発表

スリランカのデジタル化を率いる政府機関であるICTAの助成プログラムを管理していたAbeykoon氏は、1つ目のギャップ(深いドメイン知識を持つ投資家)に加え、この第2の重要なギャップを指摘する。

 

John Keells Holdings(JKH)とHemasの2つの大規模なビジネスグループが、自社の事業分野を革新するスタートアップのための独自のアクセラレータプログラムを発表した。Slingshotと呼ばれるHemasのプログラムは、2年間で医療および物流のスタートアップに1億5,000万ルピー以上を投資した。JKHのアクセラレータプログラムであるJohn Keells Xからは同様のデータは入手できなかった。

 

しかし資金調達源は、すでに軌道に乗っている企業にとって多くはなく、ある一点でボトルネックとなっている。Gnanam氏は、「ベンチャーキャピタルの分野に焦点をあてた投資家を惹きつける必要がある」と最終段階で資金調達を必要とする企業に投資するベンチャーキャピタルについて述べた。この段階のスタートアップは未公開株式投資ファンドにとっては小さすぎリスクになり、個人の資金提供者が融資をするには大きすぎる。

 

Ironwood Capital PartnersとNDB-Zephyrが運営する未公開株式投資ファンドは、普段資金提供しているスタートアップに比べ、リスクの低い確立されたベンチャーを模索している。

 

Gnanam氏は、ベンチャーキャピタル、企業、在外スリランカ人、エンジェル投資家等が外国市場へのアクセスを促進し、手ごろな価格の高品質のアクセラレータスペースを提供するよう促したいと考えている。

 

これらのギャップを議論することにより、CrowdlslandのAbeykoon氏は、より多くの人々が彼らを評価し、熟慮してくれることを期待している。

 

社会的および経済的な変化は、将来の機会を活かすのに適しているスタートアップにさらなる勢いを与える。銀行、電気通信、小売、メディアなどの分野は、スタートアップによって変わってきている。しかし、テクノロジーが成功するためには、制度的枠組みとエコシステムによって支えられなければならない。

『ECHELON(エシュロン)』は、スリランカの三大ビジネス誌のひとつ。著名な経営者・ビジネスパーソンのインタビュー記事から、同国の金融・経済・投資・不動産などの最新事情、ラグジュアリーなアイテムやライフスタイル等の記事を幅広く掲載。経営者層やハイクラスなビジネスパーソンなど、同国の物的・知的富裕層を多数読者に抱える。(写真はチェアマンのChanna De Silva氏)

著者紹介

連載現地経済メディアの記事を独占翻訳! スリランカ金融経済&ビジネスの最新事情

この記事は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2017年11月1日に掲載した記事「Completing the startup ecosystem」を、翻訳・編集したものです。

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