不動産投資におけるキャッシュフローの意味について解説します。

キャッシュフローとは

キャッシュフローとは、実際に得られた収入から、支出を差し引いて手元に残る資金の流れのことをいいます。ここで、実際に得られた収入とは、家賃収入と保証金・礼金・更新料などを指します。

 

支出は、管理費、修繕費、火災保険料、固定資産税といった不動産そのものにかかる各種経費、借入金返済、所得税・住民税等に大別されます。なお、減価償却費は実際の支払がないので支出には含みません。その結果、キャッシュフローは次の式で計算されます。

 

キャッシュフロー=実際に得られた収入-(各種経費+借入金返済+所得税・住民税等)

 

キャッシュフロー計算の具体例

キャッシュフローを計算することで、実際に手元に残る金額あるいは持ち出しが発生する金額を知ることが可能です。

 

例えば、1億円の不動産を、手持ち資金2千万円、8千万円を金利2%、借入期間10年、初年度返済額960万円の条件で借り入れて購入することを考えます。この不動産から実際に得られる収入は年間1千万円で、各種経費が年間100万円とします。なお、所得税・住民税等については、ここでは考えないこととします。

 

この場合の初年度のキャッシュフローは、マイナス60万円となります。しかも、ここでは計算しませんが、税務上は利益が出ていることになりますから、取得税・住民税等まで発生してしまいます。これは60万円以上の持ち出しが発生することを意味します。

 

キャッシュフローをプラスにするための留意点

キャッシュフローをプラスにするためには、満室を目指して収入を増やすこと、各種経費の不要部分を見直すことは勿論ですが、借入金返済と所得税・住民税等にも留意することが必要です。

 

借り入れについて、国内で賃貸併用住宅を購入する際に住宅ローンを組むならば、金利1%以下、借入期間35年といった毎年の借入金返済負担が小さい条件にすることも可能です。しかし、海外不動産に投資するための借り入れの場合、国内の銀行から借り入れを行うと高い金利や短い返済期間となってしまうことが通常です。また、海外不動産は現地通貨で運用されますが、国内銀行から円で借り入れを行った場合には円で返済する必要があるため、為替リスクにも注意が必要です。そのため、現地の銀行からの借り入れも視野に入れながら、過大な借入金返済にならないようにする必要があります。

 

所得税・住民税等について、投資対象国の税制にも注意が必要です。海外不動産投資を行なう場合には、日本国内での課税に加えて現地での課税も発生します。二重課税を回避するための外国税額控除という制度がありますが、両国での課税の合計額がどうなるのか、現地での納税にも詳しい税理士等によく確認する必要があります。

 

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