ホームインスペクションとは
ホームインスペクションとは建物状況調査のことで、民間の講習実施機関が実施する国土交通大臣に登録された一定の要件を満たす講習を受けて登録された者が行います。
上記の講習は、平成29年2月に創設された「既存住宅状況調査技術者講習制度」に基づくもので、既存住宅の調査の担い手となる技術者の育成を推し進めるものです。また、宅地建物取引業法の改正による建物の状況調査の活用促進や既存住宅売買瑕疵保険の活用等とあわせて、売主・買主が安心して取引できる市場環境を整備し、既存住宅流通市場の活性化の推進を目的としています。
さらに、この講習制度は国の進める「住生活基本計画」における優良な住宅資産による「新たな住宅循環システム」を構築するための人材育成制度でもあり、検査の質の確保と向上が推し進められています。
既存住宅状況調査技術者講習制度と宅地建物取引業法
「既存住宅状況調査技術者講習制度」による講習は、国の定める一定の要件を満たす必要がありますが、国家資格ではなく講習実施機関による登録資格者(既存住宅状況調査技術者)となります。なお、講習実施機関には、一般社団法人日本木造住宅産業協会、一般社団法人全日本ハウスインスペクター協会など5法人があります。
講習の受験資格は特にありませんが、建築や不動産などの知識が必要となるため、一般的には建築関連や不動産関連に携わっている人達の受講者が多く見られます。
宅地建物取引業法は、その一部が省令ならびに告示で改正・公布され、平成30年4月1日からは、既存住宅状況調査技術者が国の定める「既存住宅状況調査方法基準」に従って行うホームインスペクションの結果が、既存住宅の取引における重要事項説明の対象となります。
住宅では定期的なメンテナンスやリフォームが必要となりますが、既存住宅(中古住宅)の売買ではそれらの実施の有無や必要性の判断が難しいため、第三者のホームインスペクションによる住宅診断結果が重要な役割を果たします。
まとめ
新築を含めた住宅ストックが全世帯数を大きく上回るようになり、国の「住生活基本計画」では既存住宅の長期寿命化と質の向上を図ると共に有効活用を推し進めています。そのためには、既存住宅の耐久性や省エネ性能、さらには劣化の程度判断と修復などに対する対応が必要になり、今後はホームインスペクションの役割と活用が重要になると思われます。
なお、ホームインスペクションは既存住宅売買瑕疵保険とも密接な関係にあり、この瑕疵保険への加入時の適否判断にも活用されます。