前回に引き続き、不動産投資の収益を具体的に評価する「3つの指標」について説明します。今回は、利回りの傾向を「物件種別」に把握する方法を詳しく見ていきましょう。

「賃借人を集めやすい場所」は利回りが低くなる!?

前回の続きです。利回りは「新築か中古か」「区分か一棟か」「場所が良いか悪いか」によって、共通した一般的な傾向がみられます。具体的に述べると、中古の物件よりも新築のほうが利回りは低くなります(ただし、新築は家賃が高く、中古のほうが新築よりは家賃が低いのが一般的です)。

 

また、区分マンションよりも一棟アパートや一棟マンションのほうが利回りは高くなります(区分は毎月のランニング経費を計算したうえで実質利回りを出すことが大切になります)。

 

さらに、賃借人を集めにくい場所よりも集めやすい場所のほうが利回りは低くなります(そのため、地方都市よりも東京都内のほうが利回りは低くなります)。

 

こうした利回りの傾向を以下の図表に示しているので参考にしてください。

 

[図表]利回りのイメージ

物件は「実質利回り」に注力して探す

手取り金額は、不動産投資の結果、実際に手元に残る金額のことです。具体的には毎月の賃料の額から、月々支払う管理修繕費等を差し引いた金額になります。

 

投資対象として物件を比較するときには、「家賃が7万円の物件よりも、8万円の物件のほうがより多くの利益を得られるはず」などというように、外から入ってくるお金の額ばかりに目がいきがちですが、中から出ていく金額についてもしっかりと意識しておかなければなりません。

 

具体例をもとに説明しましょう。以下にあげたA物件とB物件それぞれの家賃、管理修繕費等の概要を見比べてみてください。あくまでも表面的な数値と実際の数値の差だけをみるとわかりやすいです。

 

A物件 家賃が9万円管理修繕費等は1万円

B物件 家賃が9万3千円管理修繕費等は1万5000円

 

家賃はA物件よりもB物件のほうが高いものの、管理修繕費等を差し引いて手元に残るお金の額はB物件が7万8000円であるのに対して、A物件は8万円になります。実際に入ってくる金額は、A物件のほうがB物件よりも2000円多くなるわけです。

 

2000円というとたいした金額ではないように思う人もいるかもしれませんが、1年間にすれば2万4000円、10年間では24万円、20年間では48万円・・・というように長い年月の中では大きな差となります。不動産投資で大切なのは様々なことの細かい積み重ねです。

 

不動産投資の収支を正確に把握するためには、このように賃料だけではなく手取り金額の中身を確認することが不可欠です。そのため、表面利回りに気を取られず、実質利回りに注力して物件選びをしたほうが良いのです。

 

この話は次回に続きます。

本連載は、2017年12月25日刊行の書籍『不動産投資の「勝ち方」が1時間でわかる本』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

不動産投資の「勝ち方」が1時間でわかる本

不動産投資の「勝ち方」が1時間でわかる本

吉村 拓

幻冬舎メディアコンサルティング

いつ? どうやって? なにを? 興味があってもなにから始めればいいのかわからない人が大半。 そんな方に読んでほしい、不動産投資のメリットと勝つためのノウハウが十二分に詰まった一冊。 不動産会社探しのプロセスから…

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