基礎的知識の欠落を見つけたら、丁寧に基本を押さえる
技術と並んで重要なのが、基礎的な知識です。とにかくほかの人に遅れないように、遅れを取り戻せるようにと、基礎的知識の理解もそこそこに、焦って問題を解き進めるのは得策ではありません。
基礎の部分なしに、応用的なことに取り組むのは時間の浪費です。焦っているからといって、その基本を見誤らないことです。
基礎の欠落を見つけたら、十分な時間を取って丁寧に基本を押さえましょう。一時的には遅れることになっても、二度手間になるよりはるかに良いのです。
ある生徒は、浪人することが決まった4月に、私たちの予備校の門を叩いてくれました。その時の数学の偏差値は38。現役時に受験したある大学の数学の試験問題は、1問も解くことができなかったと話していました。
ところが、入塾後に基礎からやり直した結果、5月の模試では早くも偏差値は63まで急上昇。模試は年間を通してだんだん難しくなるので、5月の段階での模試は比較的簡単なものなのですが、それでも60台まで伸ばすことができたことが本人はとてもうれしかったようで、その後も順調に学習を続けることができました。
1カ月の間に取り組んだのは、5月の模試で出題される範囲に限定し、基礎的な概念を徹底的に頭に入れていくことでした。範囲から外れる部分は、もちろん分からないままです。けれど、最初の模試で成果を出したことは、本人にとってとても大きな自信につながる出来事でした。大学受験でも試験範囲は決まっているわけですから、範囲を少しずつ広げて、できない部分をできるようにしていけば、得点を伸ばすことは可能です。
結果的に、現役時に0点を取ったまさにその大学の数学でなんと満点を獲得。みごと合格を果たしました。
受験は「できないことができるようになる」状態になれば、パスできます。
高校の内容が分からないなら、中学の範囲からやり直す
高校の内容が分からない場合は、当然中学校の範囲からやり直すほうが良いのです。必要であれば、中学校で学ぶ範囲を予定に組み込みましょう。自分の各教科の実力を見極めて、どこから勉強すればよいのかを把握することが大切です。
教科として、特に注意を払うべきものは英語と数学です。
理科や社会は、高校の学習内容だけで完結している部分が多いのですが、英語や数学の場合は、高校での学習内容が中学校の発展編という位置づけになっています。中学校で学ぶ範囲の修得があいまいだと、基礎力不足で伸び悩んでしまうということがよく起こります。
英語と数学は「基礎が身に付いていなければ次に進めない」と考えたほうが良いのです。