技術は勉強ではなく「トレーニング」によって身に付く
数学や理科の「計算力」、英語の「速読力」は受験で必須の基礎技術です。大切なのは、これが基礎「知識」ではなく、あくまで「技術」であるということ。何かを覚えるということと、何かができるようになるということは、まるで違うことです。
前述したように、技術は勉強ではなく「トレーニング」によって身に付きます。一日30分、1時間と決めて毎日一定の練習を積み重ねることが上達のポイントです。これは、スポーツなどと同じこと。野球部員が毎日キャッチボールをしたり、柔道部員が毎日受け身を取ったりするように、基礎技術は日々の練習でメンテナンスすることが不可欠です。
「毎日、こつこつと」と聞くと、何を今さらそんな当たり前のこと、と思うかもしれません。けれど、学習内容が先に進み、高度なことを取り扱うようになったとき、毎日計算練習をし、毎日英語の音読ができている人はどれだけいるでしょうか。基礎がおろそかになってしまう人も少なくないのではないでしょうか。しかし、実際に医学部への逆転合格を果たすような生徒は、いつも基礎技術を整えることに余念がありませんでした。
基礎技術を鍛えることで、難問も楽に解けるようになる
医学部を受けるような生徒の場合、計算がまったくできないという人は少なくて、時間をかければある程度正確に解けるという人がほとんどです。
ですが、受験の本番ではゆっくり丁寧に計算をする、というわけにはいきません。試験の時間は限られているのですから、「ゆっくり時間をかければできる」というのは、受験本番では「できない」というのとほとんど同じことです。これでは技術として役に立つものにはなりません。
計算の技術を日々のトレーニングで鍛えていくと、速さと正確さは着実に上がっていきます。日々の出来不出来にはあまりこだわる必要はありません。正しい方法でトレーニングすれば、いずれは必ず成果は出てきます。
ある生徒は数学があまり得意ではありませんでした。けれど、春から夏までの3カ月間ほど毎日計算トレーニングを続けた結果、一般レベルの数学であればほとんど見た瞬間に解けるようになりました。その後も異常とも言えるような速さで数学の学習が進み、無事志望校に合格することができました。
計算力は一つの技術です。トレーニングを積めば、脳に大きな負荷をかけることなく、半ば自動的に計算を処理することができるようになってきます。数学の問題を解くとき、この力が大変な効果を生みます。数学の問題には計算がつきもの。でも、計算にあまりに時間がかかると、途中で「あれ? なんでこの計算をしているんだっけ」と、論理的な思考が分断され、先に進めなくなってしまうということになりがちです。
難しい問題ばかりに取り組んでしまう人は多いと思いますが、まずはおろそかになりがちな基礎の技術を身に付けることで、難問も楽に解けるようになるのです。