なぜ「全社的」に取り組まなければならないのか?
営業現場へのITシステム投資は全社的に取り組まなければ意味がないという理由はまだあります。
営業担当者は、社内のイントラネットを見て情報を収集するか、タブレット上の情報を見ます。例えば製薬会社の場合、医師を訪問したMRから聞いた話と、会社が情報提供しているポータルサイトで見た内容は、当然のことですが同じでなければなりません。
マーケティングオートメーションを運用してたくさんの種類の医薬品について医師向けに情報を出したときのことを想像してください。社内から提供された資料や情報と、MRが活用している情報とを比較して1%でも間違っていた場合どうなるでしょうか。
製薬会社には、営業部門、マーケティング部門、メディカルサイエンスリエゾン、開発部門、安全性に関する部門、学術的な内容を担当する部門など数多くの部門があります。
マーケティングオートメーションでも社内のイントラネットでも、これらの部署から得られる個別の情報が、ひとつの製品として見たときに整合性が取れていなければおかしいのです。そこで各部署と連絡し、部署間での調整をして、すべての情報を正しく修正する作業が必要です。
これは考えてみると、コーポレートガバナンスを担当する部署がやっていることと変わりません。デジタルプロモーションを加速させればさせるほど、ITシステムに長け、〝マーケティングとしての業務要件〞と〝システムのデータの必要要件〞を理解できる経験豊富なスペシャリスト育成が必須となります。
「組織の歯車」がかみ合うよう、経営者は注意を払う
他業種の企業でも同じで、営業現場で提供する情報が、企業のオフィシャルサイトの内容と合致していなくては困ります。
全社から集めた情報やコンテンツは、社内の誰もが利用する一方で、どこからでも提供される可能性があります。営業担当が使うコンテンツはほかの部門でもつくりますし、営業担当の行動記録や報告には経営者が知りたい情報も含まれています。その内容に間違いがないことが保証できないと、場合によっては訪問先で矛盾を指摘されてしまいます。
企業運営は組織の歯車がうまくかみ合うように回す必要があります。狭い範囲でもマーケティング部門、営業部門、教育部門が一体となって動き、それぞれの活動の成果が活用できるようにしたいと経営者は考えています。
営業部門の立場からすれば、営業担当者の能力を発揮させるために組織横断的にいかに効率を上げる取り組みをするかという課題があります。
コンテンツの管理・運営は営業担当者の教育・プレゼンテーション・営業報告が一体となった仕組みと噛み合った運営が必要な理由がそこにあります。