前回は、日本企業の競争力が失われている理由を探りました。今回は、企業のITシステム運用の成功を左右する、経営者の「判断力」について見ていきましょう。

大企業の経営者は「効率のよい投資」を考える

企業の営業活動において、人的リソースを割かないウェブマーケティングからマーケティングオートメーションへの流れ。そこで興味を持った顧客予備軍に最小限の人手をかけて臨むインサイドセールス。さらに実際の営業として人が対応する際のSFAやCRM。そして現場におけるITシステムの活用。

 

この一連の流れの中で、今まで手つかずだったのが最後の現場におけるITの活用です。意外と行われてこなかったプレゼンテーションの練習とその教育であるロールプレイに力を入れ、現場に行く前に知識を増やし、現場での必要時間を最短にする仕組みを導入する。これが現実的な解答であることは、ここまでお読みいただいた皆様には理解いただけたのではないでしょうか。

 

大企業の経営者の多くは、こうしたITシステムの活用の流れについて認識を新たにする必要があります。さらに現状のIT部門のカバー範囲とお付き合い先のITベンダーの実状も理解した上で、手のつけられるところから効率のよい投資を考える必要があります。

担当者に任せきりにせず、成果が出せる運用かチェック

外資系企業の経営者の場合、会社のIT部門、もしくは取引先のSI会社の実態を把握しています。内資系企業の経営者の場合、グループ企業のIT子会社や関係会社にIT投資や運用を任せて実状を把握できていないことも多いのではないかと思います。そうであれば、この差は大きいと思います。

 

ITが日々進化し高度化しているので、どこまで理解すれば専門家だと認めていいかひとことでは言えなくなっています。

 

30年前に外資系企業でもITに通じた社員というと、IBMのホストコンピューターに詳しい方のことを指していました。その後、ダウンサイジング、クライアントサーバと呼ばれる時代まではITの専門家がいましたが、インターネット以降、デジタルマーケティングの流れからITを活用する方向へと変革が起きています。

 

現在ではクラウドサービスの中身が日を追うごとに拡大しています。そのため、細かい内容まで説明ができる人はほぼ皆無です。それだけ細分化されてきている中で、今からITに取り組むとして、ビジネス領域ごとに細分化された専門家を何人も育てることができるでしょうか。簡単にはできないことはすぐに分かるかと思います。

 

ですが、ロジカルに業務を分析でき、ビジネス上のプライオリティを立てられ、なおかつシステムを理解できる人を育てなければいつまでも経営者から見て満足のいくITシステムの導入が達成できないことになります。導入に成功したか失敗したか、はたまた何を改良すればいいのか。経営者が分からなくなっていっていないでしょうか。

 

営業部門向けのシステムについても、「単なるビュアーツール」と「インタラクティブプロ」のようなコミュニケーションを主とした対話型ツールの区別がつかない人は、なぜ機能に差があるのかすら分かりません。その結果として業務の効率化分析も、費用対効果も考えることができないでしょう。

 

経営者は営業に関するITシステムを誰かに任せているだけでなく、成果が出せる運用ができているかまでを見る必要があると思います。

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