相続開始前3年以内に居住してなければ、特例が適用に
将来、子どもが実家に戻って住みたいと思っている場合、マイホームを持っているからといって、特例の適用をあきらめる必要はありません。先ほどの④の要件をもう一度チェックしてみましょう。ポイントは次のとおりです。
●相続開始前3年以内に
●本人又は配偶者の所有する家屋に居住したことがないこと
この要件をよく読んでみると、相続開始前3年より前から、マイホームに居住していなければ、この特例を受けられると気づきます。つまり次のようなケースでは、特例を受けられるのです。
◆マイホームを売却し、賃貸住宅に居住する
◆マイホームを賃貸し、賃貸住宅に居住する
◆マイホームを賃貸し、親等の所有する住宅に居住する
マイホームを売却・賃貸するなら早めのスタートを
「せっかく買ったマイホームに住めないなんて・・・」と考える方もいると思いますが、居住用の小規模宅地等の評価減の特例は、減額率が80%という、大盤振る舞いの特例です。
たとえば、1億円の土地の評価額が2000万円に減額されるのですから、この特例を受けると受けないのでは、相続税の税負担に“大きな差”が生じます。
まずは、相続の財産・債務一覧表を作成し、現状での相続税額と、この特例を適用した場合の相続税額を試算してみましょう。そして、軽減される税金を知って、行動を考える、これが一番いいと思います。
もし実行されるなら、早めのスタートをおすすめします。相続開始前3年以内にマイホームに住んでいない、という期日の要件をクリアする必要があるからです。人の寿命はわからないものです。早めに実行し、親の長寿を願う、これが正しいスタンスだと思います。