老齢年金受給後の働き方で、加入する健康保険が変わる
会社に勤務している人が老齢年金を受給する際には、次の選択肢があります。
ケース① 老齢年金受給前と同じように働く場合
老齢年金受給前と同じように会社の健康保険(協会けんぽまたは健康保険組合)に加入します。
ケース② 老齢年金受給前よりも給与額を下げて働く場合
健康保険の加入要件にあてはまっている場合は、そのまま会社の健康保険(協会けんぽまたは健康保険組合)に加入します。健康保険の加入要件にあてはまらなくなった場合は、会社の健康保険に加入し続けることはできません(※)。
ケース3 退職する場合
会社の健康保険に加入し続けることはできません(※)。
(※)会社の健康保険に加入し続けることができない場合は、任意継続被保険者制度を利用するか、国民健康保険に加入するか、家族の扶養に入るかを選ぶことになります。
[図表1]老齢年金受給後の会社員の働き方と健康保険
<ちょっと補足>
会社の健康保険に加入しなくなったあとの健康保険
「国民皆保険制度」のため、かならず健康保険制度のいずれかに加入します。家族の扶養になって加入することを選択することもできます。
なお、ケース①、②、③のいずれの場合も、75歳になったら後期高齢者医療制度に加入することになります。
家族の扶養となっている場合も、自身が75歳になったら、後期高齢者医療制度に加入しなければなりません。また、自身が75歳未満でも、家族が75歳になった場合は、家族が後期高齢者医療制度に加入しますので、扶養のままではいられません。自身で健康保険制度のいずれかに加入することになります。
<厚生年金保険と会社の健康保険はセットで加入>
厚生年金保険と協会けんぽ、健康保険組合は、会社に勤務している人が加入要件にあてはまる場合に加入することができます。その加入要件はまったくいっしょなので、実際には厚生年金保険と協会けんぽ、健康保険組合はセットで加入します。保険料のしくみもほぼ同じです。
老齢年金受給前よりも給与額を下げれば、保険料も減額
ケース① 老齢年金受給前と同じように働く場合
老齢年金受給前と同じように健康保険料がかかります。
ケース② 老齢年金受給前よりも給与額を下げて働く場合
健康保険料も下がる手続きを行うことができる場合があります。健康保険料が変更となるしくみは、厚生年金保険料の変更のしくみと同じで、原則、健康保険料と厚生年金保険料の変更手続きは同時に行います。
ケース③ ケース②で会社の健康保険の加入要件を満たさない勤務条件へ変更となった場合や退職する場合
会社の健康保険へそのまま加入し続けることはできませんので、会社の健康保険の健康保険料はかかりません。ただし、会社の健康保険に加入できない場合、任意継続被保険者制度または国民健康保険に加入することを選択した場合は、加入した制度によって健康保険料がかかり、家族の扶養に入ることを選択した場合の健康保険料はかかりません。
<ちょっと補足>
家族の扶養に入るための年収条件
家族の扶養には、年間収入が60歳未満は130万円未満、60歳以上は180万円未満でないとは入れません。
[図表2]老齢年金受給後(60歳以上)の年金と健康保険 まとめ
<ちょっと補足>
健康保険料と厚生年金保険料を変更する手続き
変更の手続きは勤務している会社で行います。条件によって異なりますが、給与が下がったにもかかわらず、健康保険料や厚生年金保険料が変更されていない場合は、会社に確認をしましょう。
<ちょっと補足>
介護保険料
40歳以上65歳未満の人は、家族の扶養に入るほかは、上の図のほかに介護保険料を払います。65歳以上の人は、家族の扶養に入っているかどうかに関係なく介護保険料を支払います。