今回は、年金にかかる「税金」を種類別に探ります。※本連載は、社会保険労働保険手続きや給与計算等に関するアドバイスを行う、社会保険労務士法人小林労務管理事務所の著書、『これ一冊でぜんぶわかる!年金のしくみともらい方2017~2018年版』(ナツメ社)の中から一部を抜粋し、ややこしい年金制度の「しくみ」と、年金の正しい「もらい方」について分かりやすく説明します。

老齢年金には「所得税」「住民税」が課税される

所得税と住民税は、老齢年金にはかかりますが、遺族年金と障害年金にはかかりません。

 

老齢年金は、受け取っている年金額が65歳未満の人は108万円以上、65歳以上の人は158万円以上ある場合に、所得税がかかります。所得税がかかる場合は、所得税が天引きされた年金額が振り込まれます。

 

毎年2月時点での年金額で所得税がかかるかどうかが判断されます。そのため、年金額が2月の時点で108万円(158万円)未満で、所得税がかからないと判断されると、3月以降に年金額が108万円(158万円)以上に上がった場合でも、その年は所得税がかかりません。

 

しかし、このように途中で年金額が変わった場合は、確定申告が必要です。

 

 

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確定申告とは①

1〜12月の1年間の老齢年金や給与などの所得を計算することにより、正しい納付税を確定する手続きです。

老齢年金を受給している際に提出する「申告書」とは?

会社から給与の支払いを受けている場合、毎年、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出しているように、老齢年金を受給している場合は、「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書(ふようしんぞくとうしんこくしょ)」を年金事務所へ提出します。

 

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出すると、給与から天引きされる所得税の額が、提出しないときに比べて安くなるのと同じように、「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」を提出すると、提出しないときに比べて、老齢年金から天引きされる所得税の額が安くなります。

 

「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」を提出すると、所得税の税率は5.105%ですが、提出しない場合は10.21%なので、2倍の差があります。「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」の提出を忘れないようにしましょう。

 

「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」は、毎年2月時点の年金額が65歳未満の人は、108万円以上、65歳以上の人はで158万円以上である場合には年金事務所から毎年10月頃送られてきます。

 

ただし、はじめて老齢年金を請求した場合は、その際の請求書に「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」が含まれているため、改めて「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」は届きません。また、毎年2月時点の年金額が65歳未満の人は、108万円未満、65歳以上の人は158万円未満である場合には所得税がかからないため、届きません。

 

 

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確定申告とは②

老齢年金や給与などは受け取りのつど、所得税が天引きされています。確定申告をすると正しい納税額が確定されるので、1年間にすでに支払った税金と正しい納税額とを過不足精算できます。

 

「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」を提出したあとに申告内容に変更があった場合には、変更の届出は、年金事務所では受け付けていません。申告書を提出したあとに申告変更があった場合は、確定申告を行わなければならないので注意が必要です。

 

この話は次回に続きます。

これ一冊でぜんぶわかる! 年金のしくみともらい方2017~2018年版

これ一冊でぜんぶわかる! 年金のしくみともらい方2017~2018年版

社会保険労務士法人 小林労務管理事務所

ナツメ社

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