失業保険と老齢厚生年金を「同時に受け取る」ことは可能か?

今回は、失業保険と老齢厚生年金を「同時に受け取る」ことは可能かを探ります。※本連載は、社会保険労働保険手続きや給与計算等に関するアドバイスを行う、社会保険労務士法人小林労務管理事務所の著書、『これ一冊でぜんぶわかる!年金のしくみともらい方2017~2018年版』(ナツメ社)の中から一部を抜粋し、ややこしい年金制度の「しくみ」と、年金の正しい「もらい方」について分かりやすく説明します。

同時に両方受け取ることはできない

60歳から65歳になるまでの間に老齢厚生年金を受け取ることができる方が退職した場合、ハローワークから基本手当(失業保険)を受け取ることができる可能性があります。ただし、基本手当と老齢厚生年金を同時に両方とも受け取ることはできないので注意が必要です。

 

ハローワークに基本手当を受け取るために求職の申し込みを行うと、その時点で、老齢厚生年金のほうが全額支給停止となり、受け取ることができなくなります。

 

[図表1]老齢年金の全額支給停止の例

 

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調整対象期間

ハローワークで求職の申し込みをしたときに年金が支給停止される期間のことです。

 

老齢厚生年金が支給停止される期間は、ハローワークで求職の申し込みを行った月の翌月から最後の失業認定日の月までです。

 

基本手当は、ハローワークで失業の認定を受けた場合に受け取ることができます。そのため、失業の認定を受けることができなかった場合は、基本手当を受けることができなくなります。

 

求職の申し込みを行うと「厚生年金」が支給停止に

ただし、求職の申し込みを行うと、基本手当をもらうことができてもできなくても、老齢厚生年金のほうがまずは支給停止となります。

 

老齢厚生年金が支給停止される期間に、基本手当を受けることができなかった月がある場合は、その月分の老齢厚生年金はすぐに受け取ることはできず、約3か月後に受け取ることとなります。また、老齢厚生年金が支給停止される期間が終了したあとは、老齢厚生年金の受け取りが再開するのは約3か月後となります。

 

求職の申し込みをした時点で、老齢厚生年金が全額支給停止されると聞くと、「損をしてしまうのでは?」と思われるかもしれませんが、老齢厚生年金が支給停止される期間が終了したあとに、調整が行われ、老齢厚生年金をさかのぼって受けることができる下の図のような事後精算(じごせいさん)のしくみがあります。

 

[図表2]事後精算の例

 

<ちょっと補足>

失業認定を受けなかった場合、年金はどうなる?

ハローワークで失業認定を受けなかった月(基本手当を受けなかった月)がある場合は、その月の3か月後に年金が支払われます。 

「お客様の立場で次の次を考え、最良の労務管理を提供する」をモットーに、社会保険労働保険手続きや給与計算、人事労務に関するアドバイスなどを行う社会保険、労務管理の専門家集団。東京・千代田区麹町の事務所で各種セミナーを定期的に開催している。

主な著書:DCプランナーのための社会保険ハンドブック(株式会社きんざい)、中小企業のための人事・労務診断ハンドブック(日本経済新聞社)ほか。

著者紹介

連載「年金」にかかる保険料と税金…正しいもらい方とは?

 

 

これ一冊でぜんぶわかる!年金のしくみともらい方2017~2018年版

これ一冊でぜんぶわかる!年金のしくみともらい方2017~2018年版

社会保険労務士法人 小林労務管理事務所

ナツメ社

年金は請求しなければ受け取ることはできません。自分は、いくら受給できるのか。本書では、計算式や支給例も掲載しながら、老齢年金、遺族年金、障害年金を丁寧に図説します。ややこしく、わかりにくい年金の「しくみ」と「も…

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