「思うようにいかないとき」こそ勝負どころ
相場で負けたとき、あるいは気持ちが弱くなったとき、私がよく思い出すのがイチロー選手の存在です。イチロー選手は、いわずと知れた野球の世界的名プレーヤーです。その打撃力にはとりわけ定評があり、前人未到の記録をいくつも打ち立てています。後にも先にも、ここまで偉大な選手はなかなか出てこないのではないでしょうか。
そんなイチロー選手は、何かを極めた人ならではの強い精神力を持っていて、その言葉や生き方には大いに刺激を受けます。例えば、イチロー選手の言葉で、心に残っているものがあります。
「思うようにいかないときに、どう仕事をこなすか。これが大事です」
誰しも、好調なときばかりではありません。野球選手なら、コンディションが優れずにどうしても打てない日もあるでしょう。試合に出ても結果を残せず、ファンやマスコミに責め立てられて、精神的に追い込まれるかもしれません。人気商売とはいえ、本当に大変な職業です。
投資家でも判断ミスが相次いで負けが込む時期があります。そういうときは本当に何をやっても勝てないもので、これまでピタリと当たっていた相場の読みが、急に外れ出します。となると、資金はどんどん減っていくことになりますから、気分は最悪になります。でも、そこで腐ってしまったら負けです。
多少落ち込むのは、人間ですから仕方ありません。それでも、「ああ、負けちゃった。そんな日もある。明日頑張ろう」と、気持ちを切り替えるべきです。難しいことですが、やらなければなりません。
イチロー選手も、思うようにいかない日はあって、やはり格闘しているのでしょう。コンディションを上げていくため、不調時でもトレーニングをし、状態を整えているはずです。それが、事態を打開するということを、誰よりもよく知っているのだと思います。
私達投資家も、イチロー選手の姿勢に倣わなければなりません。思うようにいかなければ、なぜそうなっているか。どうすれば打開できるのか。次の相場のことを考えて、常に前向きであるべきです。
小さな成果の積み重ねが、とてつもない成果に
イチロー選手は、こんな言葉も残しています。
「試合後はロッカーや車の中で、気持ちの整理をします。いい結果も、悪い結果も、家には持ちかえりません」
ここまで徹底的に切り替えることは難しいかもしれませんが、投資家もこれくらいの心構えではいるべきです。いつまでも勝ちに酔いしれたり、負けにこだわっていたりすると、先に進むことができません。
また、こんな言葉もありました。
「小さなことを積み重ねることが、とんでもないところに行くただ一つの道だと思う」
イチロー選手は、試合のない日もトレーニングに体調管理と、ストイックな生活をしています。その日々の鍛練の成果が、試合で発揮されるのです。
投資も同じで、とてつもない成功を収めるには、コツコツとチャート分析をし、相場に慣れ、薄利をコツコツ積み重ねていくことが大切です。毎日の成果は小さいものですが、それが膨れ上がって、次第に大きなものを手に入れることができます。