負けた直後は必ず反省し、原因を探って次回に生かす
あえなく損切りする事態となったら、負けた原因を冷静に探り、二度と同じ間違いをしないように反省、復習をしたいものです。「今回のトレード、一体何がダメだったのか?」と考えることは、とても重要です。反省し、学習すれば、取引回数を重ねる度にレベルアップできます。
結果として失敗トレードになってしまう原因は、主に2点あると思います。
1つ目は、チャート分析のセオリーを超えるような嵐が相場を席巻したとき。リーマン・ショックのような大事件が起こると、底打ちのサインがいくら出ようと、底を割って下落する可能性は大いにあります。そこまでひどい状況でなくとも、値上がりや値下がりを誘発した材料次第で、想定以上に株価が上がったり下がったりすることは珍しくありません。その場合、大急ぎで損切りする事態になったとしても、仕方がないでしょう。
2つ目は、メンタルで負けてしまったときです。メンタル――つまり、気持ちで負けてしまうと、チャート分析の結果を読み切れず、もしくは読んでも信じ切れず、適切とはいえないところで売ったり買ったりしがちです。その結果、損をしたり、利益を伸ばせなかったりと、失敗トレードを招きよせてしまうのです。
この2つのうち、後者は個人の努力で克服できる問題です。というより、克服しないと、いつまで経っても稼げる投資家にはなれません。チャート分析をマスターして、ドカンと上がる株を見つけられるようになっても、肝心なときに踏ん張れなかったり、逃げ遅れたりしているようだと、利益を伸ばしていくことは難しいといえます。
特に、損失を被って、対処を迫られるときは、誰しも冷静ではいられなくなります。そこで、どのように自分を立て直すか―すなわちメンタルの部分が、投資の成否を分けます。テクニックがあっても、メンタルが弱ければ絶対に勝てません。心技、この2つの要素は同じくらい重要です。前述しましたが、焦りや恐怖、驕りは、度が過ぎると身を滅ぼしてしまうのです。
メンタルのコントロールは、私にとっても長い間の課題でした。今はある程度克服しているものの、以前は負けにがっくりしたり、怖気づいたおかげで大敗したりすることもありました。いまでも気持ちで負けるときはあり、我ながら「まだまだ……」と思います。不可抗力ではなく、自分自身の弱さに負けた場合、悔しさは倍増しますし、自分を責める気持ちもとどめようがありません。
初中級者が平常心を失うのは仕方のないことだが・・・
実は、最近もこんな失敗をしました。私は音響機器メーカーである「ティアック」という銘柄に注目しました。65円くらいから短期間で124円まで上がった後、反転↓5日続落で、100円前後まで下がっていたのです。いわゆる仕手株なので、ここまで下がったら経験上強く反発すると見込んだのですが、101円で買い推奨したところ、いったん102円に上がった後にまた下がり、一瞬のうちに100円を割ってしまいました。
そのときは、もう一段の売りがあるかもしれないと思い「損切り」しましたが、実際は103円くらいまで値を戻し、大引けを迎えました。その日は日経平均株価も500円くらい下がっていたのですが、このような日は、上昇している銘柄が少ないため、直近まで盛り上がっていた銘柄に資金が流れてくることがよくあります。そのためティアック株も上がるだろうと踏んだわけですが、なかなか想定どおりにはいきませんでした。
もし、読みが当たっていれば、102円から120円くらいまで噴き上げることも、十分に起こり得たはずです(もっとも、相場の世界で「もし~だったら」などと後から悔やむことほど、ムダなことはありませんが)。102円から89円まで一気に下がった時点で、私はかなり恐怖を覚えていました。相場に慣れている私でも、いまだにチャートを見ながら震えることがあります。特に、仕手株は動きがあって儲けやすい反面、値動きが読みにくいものです。そのため、恐怖心も強くなりますし、後から考えると判断ミスをしでかすときもあります。
チャートや株式相場と20年以上付き合っている私でも、いまだにこんなことがあるのですから、初中級者が強い恐怖や焦りを感じ、平常心を失うような場面が度々あったとしても、それは仕方のないことです。気長に、弱い自分や臆病な自分を飼い慣らしていきましょう。