200倍、500倍にまで値上がりした仮想通貨も
仮想通貨の値上がりが、ものすごいですね。1年前と比べると、20倍から200倍になっている通貨も多く見受けられます。1年間でMONAコインは500倍以上、NEMは200倍以上でしょうか。
周りにいませんか? 仮想通貨長者。
実例を交えて、今回は紹介したいと思います。
2017年1月のプレセールが終了して、10月初めに上場したADAの事例で説明しましょう。ICO(Initial Coin Offering)の出資時点においては、1ADA=0.25円ほど(取得価額)でした。bittrex取引所にて上場し、10月初めの上場直後、一気に40倍付近まで跳ね上がりました。その後、10倍付近で落ち着き、12月初め頃には50倍を突破しました。12月半ばにおいては、200倍の50~60円くらいまで来たので、200倍を超えてきています。仮に、ICO時点において、100万円を入れた方であれば、現在2億円以上の含み益を持っている状態です。
ここで問題です。
ADAで、莫大な利益を出した人たちは、第2の上がりそうな通貨を求めて、新たなICO案件へ出資しようと考えます。多くのICO案件はビットコイン等を使って、指定のウォレットへ送金する必要があるわけです。つまり、①ADAからBTCへと交換し、②数日後、BTCを使って新たな通貨へ出資する、という流れです。当初の100万円(400万ADA×0.25円)が現在2億円(400万ADA×50円)の評価になっています。何もせずにADAのまま、自分のウォレットにある状態では、利益が実現していないので、税額は発生しません。
通貨交換時においても認識される「利益」
今回、新たなICOへ入れる場合、①交換、②出資があるわけです。その時の課税関係を見ていきましょう。
所有ADAの半分の出資時50万円分(200万ADA、現在の時価1億円)を新たなICOへ入れる場合、
①ADAからBTCへ交換したときに、200万ADAが50BTC(1BTC200万円)へ交換されます。「1億-50万=9,950万円」が利益となります。残念ながら、交換時においても利益を認識するんです。
②数日後、50BTCをICO案件へ出資したときに、その時のBTCの時価が交換時より10%UPの220万円だった場合には、1BTCあたり、200万円で買ったものが、220万円で売れたという計算になります。出資時も、短い期間でも値上がり益は認識しないといけないんです。辛いですね。
220万×50BTC-200万×50BTC=1,000万円
利益の合計は、9,950万+1,000万=1億950万円
所得税額※は、1億950万×45%-479.6万≒4,448万円
※国税庁ホームページの所得税率の表より
(https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2260.htm)
住民税は、1億950万×10%=1,095万円
合計税額は、4,448万+1,095万=5,543万円となります。
ここで大問題発生! 納税可能ですか? 現金で持っていれば大丈夫なんですよ。持ってさえいれば!
ここで、現金が無いので、残りの200万ADA(時価1億円分)を売ることでしょう。一旦は1億円が手元に入りますが、現金化した分の約55%分の税金、約5,500万円が発生します。
手元の「現金1億円」に対して、税額が「5,543万(ICO課税分)+約5,500万(現金化課税分)=約1億1,043万円」になります。
ということは、約1,043万円がどうしても足りない。上がった通貨の半分だけICOに入れた場合であっても、現金はショートしてしまいます。