今回は、空き家を相続する際の、「相続税」の支払いに関する注意点を見ていきます。※本連載は、NPO法人空き家サポートセンター理事長で、行政書士を務める水谷秀志氏の著書、『空き家大国ニッポン』(せせらぎ出版)の中から一部を抜粋し、「空き家」にまつわる諸問題や相続対策について探ります。

相続は、残された相続人の「最初の悩み」

民法第八八二条には「相続は、死亡によって開始する」と定められています。人は必ず人生の終焉を迎えます。その際に被相続人の最後の悩み、そして残された相続人の最初の悩みとなるのが相続です。

 

死亡した両親から不動産や預貯金などの遺産を相続した場合には、その総額から基礎控除を差し引いた金額に応じた「相続税」を納めなければなりません。

空き家も要件を満たせば「減税措置対象」に

2015(平成27)年に行われた税制改正では、それまでの課税対象額などに準じて相続税の納付義務が発生するようになりました。これによって、人が住んでいない「空き家」に対する取扱いがより厳格化されました。

 

また、2015(平成27)年に行われた相続税の重要な改正点は、基礎控除額が減額され、税率がアップになったことです。

 

相続税には基礎控除額が設定されています。改正前には5000万円プラス相続人一人当たり1000万円でしたが、改正後は3000万円プラス相続人一人当たり600万円となり、相続税を広く浅く納めさせるという方式に変更されました。この改正により、課税対象者が大幅に増えたことになります。

 

しかしながら、小規模宅地等の特例減税という制度も見逃せません。これは、比較的小さな宅地を相続した場合、相続税が一定の割合で減税される特例措置が次のように認められています。

 

改正前:限度面積240㎡(減額割合80%)

改正後:限度面積330㎡(減額割合80%)

 

となり、それまで減税措置対象とならなかった「空き家」に対しても、いくつかの要件を満たしていれば、減税の対象として認められるようになりました。

 

それは、相続が発生(被相続人の死亡時)した時点で、被相続人が要介護または要支援認定を受けている、あるいは介護を目的とした施設に入所しているなどの、身体や精神上の理由で留守になっている場合が該当します。

 

また、相続した空き家をそのままにしておくと、相続税が高くなってしまうこともあるので、相続が発生する前に節税対策を専門家に相談しておくことが重要です。

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