グレーな民泊を規制する「民泊新法」が制定
不動産オーナーからすれば良いことずくめに思える民泊ですが、外国人とのコミュニケーション不足による管理トラブル、近隣住民とのトラブル、また、ホテル・旅館との競合など、実は様々な問題が発生しているのが実情です。
背景には、民泊をとりまく法整備の遅れがあります。空き部屋をマッチングサイトに登録しさえすれば、特に誰の許可を得なくても貸し出して収入を得ることができてしまいます。このようなグレーな民泊が非常に多く、トラブル発生の要因となっているのです。
このような事態を受けて政府は2017年3月、民泊新法(住宅宿泊事業法案)を了承。民泊として運用可能な日数を制限するなどの条件を設ける予定で、それまで横行していた無届けの「ヤミ民泊」問題を解消し、2020年の東京オリンピックに向けて、不足する宿泊施設の受け皿として民泊を普及させることが狙いです。
運用の停止が自在な民泊なら、物件の売却も容易に
旅館業法で簡易宿所として許可された民泊については宿泊日数に制限はありません。しかし政府が検討している登録制の一般の民泊は、1年間の営業日数が180日以内に制限されるため、運用利回りは今までよりも低くなるでしょう。
Airbnb社では、この年間営業日数の制限に対しては、貸し出し日数をシステムで自動的に管理し、上限を超えた物件は仲介サイト上で借り手が見られないようにするなどの検討を開始しています。
新法のもとでは、民泊の運用は各地方自治体に任せることになります。今後、塩漬け不動産になった空室等を民泊として運用する場合には、各自治体に問い合わせてから合法的に行うことをおすすめします。
このように法整備が進むと民泊運用のメリットが少なくなってしまうように思えるかもしれませんが、民泊の真のメリットは、利回りよりも売却のしやすさにあります。
一般の賃貸の場合、借家法による規則があるため、オーナーがいくら売却したくても一方的に賃貸借契約を解除することはできません。
しかし民泊であれば、その運用をいつでもやめることができ、売却したいときにいつでも完全所有物としての相場価格で売却が可能です。単純に儲かるということではなく、物件の売却時を考慮すれば、民泊での運用は大いに検討する価値があるのではないでしょうか。