前回は、「争続」になりにくい保有資産の割合を説明しました。今回は、不動産の新たな運用方法としての「民泊」の可能性を見ていきます。

東京オリンピックに向けた利用者の増加が見込まれる

近年、不動産の新たな運用方法として、不動産オーナーの間で「民泊」が注目を集めています。民泊は、アパート・マンションの空室や自宅の空き部屋を、一時的に旅行者などに貸し出すものです。仲介サイトを通して貸主と借主が連絡を取り合うのが一般的で、宿泊条件の交渉や鍵の受け渡しも本人同士が行い、利用料金は仲介サイトを通じて振り込む仕組みになっています。

 

2008年、アメリカでAirbnb(エアビーアンドビー)が設立されたことをきっかけに、民泊は急速に広まりました。Airbnbは昨年度は、世界で191カ国・地域、6万5000以上の都市でサービスを提供しており、民泊のマッチングサイトの登録物件数は300万件を超えています。

 

日本でも2014年にAirbnbの法人が設立。すでにサイトには4万8000件以上の物件が登録されており、東京オリンピックまでに年間4000万人の訪日観光客が見込まれる中で、今後も利用者は大幅に増えていくでしょう。

 

さらに昨今では中国の途家(トゥージャ)など新たな仲介事業者も現れ、さまざまなサービスを提供しています。たとえばAirbnbでは物件の管理を基本的に貸主に委ねていますが、途家ではベッドメイクや掃除などはすべて会社で管理運営してくれる、といった違いがあります。その分、途家は貸主の収入から約12%という高めの手数料を徴収するのに対し、Airbnbは貸主から3%、借り手から6~12%を手数料として徴収する仕組みになっています。

 

現在では、借主に欧米人が多いAirbnbのサイトに人気が出ています。また、英会話の問題、サイトの作成、募集手続き、清掃、鍵の管理、雑務までフルカバーで民泊支援サービスを行ってくれる管理代行会社が、各都市に続々と誕生し、民泊代行サービスサイトで調べることができます。フルカバーで依頼すると、代行手数料は民泊収入の20~25%が相場となっている状況です。

ハイシーズンなら「運用利回り10%」を超えるケースも

民泊の普及によって、アパートやマンションの一室を民泊として貸し出すことで月数百万円を稼いだとか、賃貸よりも儲かるといったオーナーの体験談がネット上に広がりました。日本経済新聞の調査によると、2016年にAirbnbを使って宿泊した訪日客の数は約370万人に達しています。日本政府観光局の発表では同年の訪日客は2400万人を超えたとされており、そのうち1割以上が同社のサービスを使った可能性があるということです。

 

Airbnbを介した東京都内の民泊利用者には欧米人・アジア人の観光客が多くなっています。ハイシーズンであれば1カ月に15~20日ほど稼動するだけで、普通に賃貸に出した場合の想定家賃8万~10万円の倍以上の収入を得られるとの報告があり、運用利回りが10%を超えるケースも少なくないといいます。

 

民泊情報サイトを運営する、ある某コンサルティング会社によると、新宿区で2~3人で利用可能な部屋(1Kなど)を民泊で運用した場合、1カ月の平均収入はピーク時で約30~35万円です。近隣の平均家賃が1Kで9万円程度なのに比べて極めて採算が良いといえます。

 

オフィスビルや賃貸住宅は、都心に近いほど運用収益が高くなる傾向がありますが、民泊では浅草や東京スカイツリーなどの観光名所に近く、交通利便性がよい台東区なども利用客からは人気です。

改訂版 塩漬けになった不動産を優良不動産に変える方法

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相馬 耕三

幻冬舎メディアコンサルティング

バブル崩壊以降、買ったはいいものの収益を生んでいない賃貸物件や、地価の暴落でほったらかしになっている土地を抱える不動産オーナーは多くいます。ソニー生命の不動産整備などを実現してきた経験豊富な不動産コンサルタント…

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