前回は、「争続」問題を遠ざける、基本的な対処法を紹介しました。今回は、相続対策としても有効な「贈与の特例法」などについて見ていきます。

住宅資金の贈与に活用できる非課税制度とは?

私は生命保険の専門家ではないので詳しい説明は省きますが、生前贈与がよいと考える場合にも、生命保険の他にも様々な手法があり、いろいろとやりようがあるのです。土地活用は本書の第3章で述べたとおりですが、その他、「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税」の活用も考えられます。

 

住宅資金を贈与する際に活用できる非課税制度で、住宅取得等のために資金を贈与した年の翌年3月15日までにその資金を受贈者が居住する家の新築や取得・一定の増改築等のために使い、実際に住んだ場合に、一定額が非課税となります。

 

2020年までに贈与した場合は、省エネ住宅で1200万円、その他の住宅で700万円までが非課税です。

贈与時の税金を繰り延べる「相続時精算課税制度」

また、不動産に限ったことではなく、生前贈与して「相続時精算課税制度」を活用する方法もあります。贈与した際の課税を相続時まで繰り延べるという趣旨で、この制度を使えば、2020年まで省エネ住宅が3000万円、その他の住宅で2500万円(消費税10%の場合)までなら贈与時の税金が課税されません。

 

この相続時精算課税制度は贈与する側から見ると、生きているうちにはっきりとした意思のもとに自分の財産を引き渡すことができます。特に不動産については、将来、不動産の価格が「上がってきそうだ」という場合は早いうちに贈与しておいたほうがいいという考え方もできます。ただし、一度制度を利用すると、取り消すことはできないので、慎重に検討することが必要です。

 

最も良くないのは「家族皆が幸せになることは何か」ということを考えたり話し合ったりせず、何も実行しないことです。それは、不動産も有価証券も現金も、いわば宝の持ち腐れ状態で、錆びた刀にしてしまうことなのです。ぜひとも、家族皆で話し合うこと、それが難しい場合には自分自身が「何をもって家族の幸せとするのか」について明確に意思を定めておくことでしょう

改訂版 塩漬けになった不動産を優良不動産に変える方法

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相馬 耕三

幻冬舎メディアコンサルティング

バブル崩壊以降、買ったはいいものの収益を生んでいない賃貸物件や、地価の暴落でほったらかしになっている土地を抱える不動産オーナーは多くいます。ソニー生命の不動産整備などを実現してきた経験豊富な不動産コンサルタント…

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