2014年度の相続財産の内訳は、不動産関係が5割
日本国内において、相続財産がどのような内訳となっているのかを国税庁発表の資料により少し見ておきましょう。2014年度分の相続税の種類別取得財産価額の総額が約12兆4086億円に対して、次のようになっています。
●土地は41.5%の5兆1469億円
●現金・預貯金は26.6%の3兆3054億円
●有価証券は15.3%の1兆8966億円
●家屋・構築物は5.4%の6732億円
●その他は11.2%の1兆3865億円
なお、この国税庁の数字は生命保険を「その他」の財産として処理しています。
また、この数字は2013年度では、相続税の種類別取得財産価額の総額が約12兆5326億円に対して、次のようになっています。
●土地は41.5%の5兆2073億円
●現金・預貯金は26.0%の3兆2548億円
●有価証券は16.5%の2兆676億円
●家屋・構築物は5.2%の6494億円
●その他は10.8%の1兆3536億円
年により増減はありますが、このように相続財産の内訳(割合)はほぼ一定しています。すなわち、不動産関係が5割程度、有価証券は2割弱、現金が約3割弱となっているのです。
理想の資産比率は、不動産:有価証券:現金=5:2:3
もし、この相続財産を一人の人間の相続財産と考えると、どのようなことがいえるでしょうか。その人の財産のうち、土地、家屋・構築物で約50%強、有価証券で20%前後、現金・預貯金で30%前後ということになります。それが、日本の相続財産の全体像ということになるわけです。
多くの人が相続税を意識していますが、実際の対策を取っている人は決して多くはありません。それにしても、一定の相続対策を取った結果がこのような数字・割合になって現れてきます。
この数字を前提として、私も資産は「不動産:有価証券:現金=5:2:3」くらいの基準で所有するのがベターだと考えています。実数が明確ではないので断言はできませんが、ちょうど国税庁が「その他」の財産のカテゴリーに入れた生命保険などを「有価証券」に加えたほどの割合です。
土地の有効活用が大切だといっても、財産を土地ばかりで所有していると流動性に乏しく、換金するのにも時間と手間がかかり日々の生活を考えれば現実的ではありません。一方、財産を現金ばかりで所有していると、流動性もありますが不動産と違って評価減が無く、現金そのものに課税されてしまいます。
生命保険など、後述するように生前贈与を意識した保険の場合は、換金性の面で融通が利きません。株式ばかりで所有していると経済状況によって、またその株式を発行する企業の業績によって大きく価値が上下します。高齢者の財産活用ということを考えると、まさしく心臓に悪い資産です。
現金は「相続税額の2倍」を持つのが理想
一つひとつを取り上げれば、このように資産には各々メリット・デメリットがあります。今後もさらなる相続税の増税が必至です。相続人のことを思えば、資産家は元気なうちに流動性の低い不動産を現金化し、相続財産に占める現金の比率を少しでも上げておくことをおすすめします。
では、現金は絶対額として、どの程度持っておくべきなのでしょうか。いくらあっても不安なものですが、相続人が相続税を支払える金額+αです。+αというのは2倍くらいというのが理想です。たとえば相続税額が1000万円くらいになるとすれば、現金は最低2倍の2000万円くらいは持っておいたほうがよいでしょう。相続税額が3000万円なら、6000万円ぐらいは持っておいたほうがよいわけです。