欧米と大きく異なる日本人の資産構成
多忙な医師の皆さんにとって最適な資産形成は不動産を使うことであることは筆者著書『医師のためのフィリピン・カンボジア投資』で記してきました。
下記のグラフは日本銀行が公表している、私たち日本人の持っている金融資産の内訳を示したものです(金融資産に不動産は含まれません)。
[図表]家計の金融資産構成
これを見ると、日本人の資産構成は現金・預金が52・4%に対して投資信託が5.4%、株式は9.0%、保険・年金・定型保証が29.9%となっており、米国やユーロエリアと大きく異なる構造になっていることが分かると思います。
日本人は圧倒的に現金や預金が他国よりも多く、次いで年金や保険で約30%、これらの合計は80%を超えます。リスクを取らず、預貯金や保険、年金といった、いわゆる「安全資産」と呼ばれるものに偏っているのです。
医師はどのような資産運用をしているのか?
これに対して医師の皆さんの資産状況についても見てみましょう。医師向けの有名なポータルサイト「m3.com」の調査によれば、「医師がどのような資産運用をしているか」という問いに対しては、次のような回答が得られています(複数回答)。
1.普通・定期預金(74.2%)
2.株式(21.8%)
3.何もしていない(20.6%)
4.投資信託(17.2%)
5.外貨預金(11.6%)
6.国債(9.6%)
7.不動産投資(7.4%)
こうして並べてみると、株式の比率が高いものの、やはり預貯金の意識が高いことがうかがえます。しかし円による預貯金でいえば、現在(2016年8月時点)の日本の超低金利化では、銀行にお金を預けてもまずお金は増やせません。
加えて預貯金の不安材料はまだあります。皆さんから集められたお金は金融機関によって運用されていて、運用先の多くは国債です。国債も預貯金同様に元本割れのリスクが極めて低い金融商品といわれていますが、リスクがゼロというわけではありません。
日本の借金はいまや1000兆円を超え、これは国家予算の約10年分です。日本という国が世界から信用されている間は大丈夫といえそうですが、いつ相対的な「円」の価値が下がってもおかしくはないのです。
実際に日本でも、第二次世界大戦後の1946年にデフォルトを起こしていますし、最近でも世界を見ればギリシャ、アルゼンチン、ジンバブエなどがデフォルト危機に陥りました。仮に日本がデフォルト状態に陥ってしまったら、預貯金の元本保証は1000万円以内とその利子分のみです。