クリスマスや新年を「新居」で過ごしたがるNZの人々
街にはすっかりクリスマスのデコレーションが施され、何となく気ぜわしい季節となりました。この時期、我々不動産販売コンサルタントは、ラストスパートで物件の営業を行います。というのも、12月はクリスマスの準備だけでなく、引越の準備を始める時期でもあるからです。
ニュージーランドでは、クリスマス前の新居への引越が好まれます。そのため、不動産販売は、9月、10月、11月の3ヶ月が勝負です。売り手も買い手も、ベストな形での家探し、新居の準備をするのです。
一方、不動産の新規リストが多く出てくるこの時期は、賃貸物件に住んでいるテナントさんたちも家の借り換えをする方が多く、やはり、「クリスマス、年始は新居ですごしたい!」との思いが大きいようです。
また、市内の学生相手の賃貸アパートメント(マンション)は、夏休みに入った学生たちが実家に戻るため、一旦、12月初旬、早い人では11月末で賃貸契約を解除します。そして、翌年2月に再契約を行います。
学生たちの2ヶ月にわたる家賃節約の策のため、年末年始にかけて市内賃貸アパートメントは空室となります。もちろん、卒業等で出ていく学生もいますので、新年度の新入生との入れ替えも発生します。
賃貸管理マネージャーはこの時期、超繁忙期となります。不動産売買契約に必要な弁護士事務所も、12月20日から1ヶ月間休むところが多く、何としてでも、12月中旬までには家の売買が終了できるよう、我々も全力投球するのです。
とはいえ、1月初旬より開業する弁護士もいるため、家の売買が全面ストップすることはありません。年末年始の休暇でニュージーランドへ旅行に来た人が、不動産を見に行ったところ非常に気に入り、1月初旬に売買契約を結びたいと申し出た・・・というようなケースは多々あります。そんなときのために、不動産会社の中には、営業中の弁護士事務所を事前に調べ、対応できるようにしているところもあります。
現地でネガティブ報道もあるオークションだが・・・
さて、最近の新聞記事では「オークション結果が悪い」「オークション会場から中国人が消えた」といった内容が取り上げられるなど、メディアは騒いでいるようです。確かに、一方ではそうのような状況はあるものの、現実には、オークション後2週間内で契約依頼が出て、売買はきちんと成立しているのです。
先日の木曜日の夜、定例オークションナイトがあり、大勢の顧客が参加しました。80万ドルから始まった物件は4組が競い合い、121万ドルでストップ。オークショナーは、家主と一旦打ち合わせ、「オン・ザ・マーケット・・・!」。
これにより、「この金額で売るが、もう一度高い金額が出るよう、再度オークションを始める」という交渉が成立し、オークショナーは再度オークション会場へ向かいます。
この「オン・ザ・マーケット」という言葉が、オークション時にはとても大切です。人々は、家主が売るであろうと思う最低金額を見極め、競り合います。「希望価格に到達していないのに競り合っても仕方ない」と考えるベテランバイヤーは、「オン・ザ・マーケット」の言葉を聞くまで、他の人々の様子をじっくり見ているのです。
この言葉がオークショナーより発せられたら、バイヤー達は、いよいよ真剣に手を挙げて始めます。121万ドルから再開し、122万ドル、123万ドル・・・と上がり、123万ドルでSOLD! 成立です。木曜日のオークション勝利者は、中国人カップルでした。
4ベッドルームに2バスルーム、アウトドアーの芝生も完備、バーベキューなど楽しむことができる物件です。2階には広い第二のリビングスペースがあり、大家族で住むにも便利なデザインの家です。
一方、売りリストに上がって間もない物件の場合、オークション日を大幅に前倒しし、広告を出すこともあります。その場合、一週目で契約依頼が出たりします。家主にとって、その金額が満足いくものであると、一般公開でもオークションをします。オークショナーは、初めに契約依頼をしてきた方の金額を発表し、そこから競い合います。
他に買い手が出なければ、最初の希望者の提示金額で売買成立ということになりますが、時として、別の競争相手が金額を上げて提示し、最初の方が購入を逃すこともあります。家主にとっては非常に効率のよい売却営業であり、早くに売れるわ、期待額より金額が大幅に上がるわで、うれしい悲鳴です。
1年間、こういう形で我々は不動産の営業をしておりますが、特にこの春・夏に向けての熱い戦いは、売る方・買う方・お世話をする不動産業者、みんなが熱くなる季節なのです。