前回は、京都特有の「眺望規制」ついて取り上げました。今回は、景観との調和を重視した京都のデザイン規制について見ていきます。

外壁の素材や色彩、屋根の傾斜にも細かい制限が…

前回の続きです。

 

さらにデザインについても細かい制限があります。たとえば、「川床」と呼ばれる桟敷が並ぶ鴨川近辺は美観形成地区に面しているため、洋風デザインの建物は認められません。

 

以前に私が関わったマンション開発では、「岸辺型」に該当したため、軒を60㎝以上出すよう求められました。通常、都市部のマンションなどでは、感覚的には軒を出さないよう指導されそうですが、京都の場合は逆に日本的な景観を守るために1、2階には60㎝以上の軒が必要なのです。

 

また、外壁色も「歴史的町並みと調和する色彩」として具体的な色の指定があり、彩度(色の鮮やかさを段階的に分けて度数表示したもの)についても「2」を超えるものや、Y系(黄色系)の彩度が4を超えるものは認められない、などの基準があります。

 

このようなデザインや色以外でも、屋根は10対3の傾斜をつけた勾配屋根とされ、傾斜のない平面状の陸屋根は認められません。高さ規制を受けながら勾配屋根をつけるということは、傾斜がついた分の空間は無駄になってしまいます。

 

さらに住宅では、瓦は日本瓦・銅板を基本とし、外壁にも素材・色彩の規定があります。 図表の鴨川通の物件は、「岸辺型」のデザイン制限を工夫しながらクリアした形になっています。

 

[図表]京都のデザイン規制

おなじみのマクドナルドの看板もシックな色味に

なお、このようなデザイン規制は住宅だけではありません。京都市では1956年から屋外広告物条例を制定し、商店の看板などに一定の規制を設けています。

 

規制の内容は、「広告の”地”の部分は白地を原則とし、周囲の景観との調和を配慮する」「特に、赤・黄色を下地に用いる場合は、これらの色と補色関係にある色の使用を避ける」といったもので、全国展開している有名チェーン店であっても、京都では看板が独自のデザインに変更されています。

 

一例を挙げれば、あの赤と黄色でお馴染みのマクドナルドの看板も、京都では赤の部分が黒やこげ茶、黄色も鮮やかさを落としたシックな色味になっている店舗が多く、なかには外壁にロゴ文字だけといった店舗や、瓦屋根、竹垣などで外観を和風にして周囲との調和を図っている店舗もあります。

 

ほかにも、八坂神社前にあるローソンでは青地に白のロゴマークを白地に黒に変更し、窓に格子を施すなど、一見しただけではコンビニとは分からないほどの変わりようで、京都市が景観に配慮した屋外広告物を表彰する「市優良屋外広告物賞」の最優秀賞にも選ばれています。

誰も知らない京都不動産投資の魅力

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八尾 浩之

幻冬舎メディアコンサルティング

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