前回は、狭い前面道路や少ない容積率で建築が難しい、京都の不動産について取り上げました。今回は、史跡や神社仏閣の景観を守る、京都の「眺望規制」の概要を見ていきます。

建築物の高さ・意匠・色彩などに厳しい規制が・・・

特殊な規制として京都には「眺望規制」というものが存在します。

 

京都の夏の風物詩といえば「大文字(だいもんじ)(五山送り火)」です。最も有名な東山如意ケ嶽の「大」のほかに、金閣寺付近の大北山の「大」、松ケ崎西山と東山の「妙法」、西賀茂船山の「船形」及び上嵯峨仙翁寺山の「鳥居形」があり、炎で描かれた文字や舟、鳥居が夏の夜空に浮かび上がります。

 

五山の送り火の起源については平安時代や江戸時代など諸説ありますが、京都で暮らす人たちにとって、なくてはならない景色の一つです。京都ではこの大文字をはじめとする数々の史跡や神社仏閣の景観を守るために「眺望景観保全地域」というものが定められており、高さや意匠、色彩などに厳しい規制が設けられています。

北に行けば行くほど高い建物は建てられない理由

たとえば高さであれば、ただ漠然と「大文字の景観を邪魔しない高さ」というわけではなく、京都市内に7カ所ある「視点場」という観測ポイントからは絶対に大文字が見えなくてはいけない、という厳しい規制になっているのです。

 

そのため、視点場付近の風景(近景デザイン、少し離れると遠景デザインという)を妨げるような高さのものは建てられません。

 

大文字以外にも視点場は31カ所あり、保護対象が神社仏閣の場合は周囲の建築物に対し、本殿や境内樹木を越えることを禁じたり、勾配屋根を義務化したりと、特別な規制を定めています。

 

たとえば、先ほど説明した中心部の「田の字地区」では、本来31mまでであれば建設できるはずですが、この視点場による規制のために二層しか建てられない、あるいは少しでも抵触する部分があれば設計を変更する必要が出てきます(図表)。

 

京都は山に囲まれた盆地なので、北に行くほど標高が高く、南に行くほど標高が低い地形になっています。従って、北に行けば行くほど高い建物は建てられないということになります。

 

[図表]眺望景観保全の高さ規制ラインのイメージ

誰も知らない京都不動産投資の魅力

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八尾 浩之

幻冬舎メディアコンサルティング

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