今回は、民法改正に伴い、連帯保証人を付帯する賃貸借契約において記載・取り決めが必要となる「極度額」について見ていきます。

連帯保証人が責任を負う「極度額の設定」が必須に

連帯保証人を付帯する賃貸借契約においては連帯保証人が責任を負う極度額の記載・取り決めのない契約は無効とされることになりました。

 

[参考]民法改正後の連帯保証条項の記載例

 

 

第●条(連帯保証)

 

丙(連帯保証人)は、甲(賃貸人)に対し、乙(賃借人)が本契約上負担する一切の債務を極度額●●●万円の範囲内で連帯して保証する。

 

 

問題は、極度額をいくらに設定するかですが、極度額設定については特に法律上のルールはなく、家主と連帯保証人の間で合意した金額を設定することになります。実際の極度額の設定は以下の点を検討のうえ、決めるのがよいでしょう。

 

(1)賃貸人からすると、極度額は連帯保証人への請求限度額になりますので、多ければ多いほどよいという側面があります。

 

賃借人の破綻や、特に悪質な賃借人の中には、即時退去せず(できず)、裁判所による判決をもって退去させなければならないケースもあります。その場合、滞納発生から明け渡しまで半年から1年近い期間がかかることもあります。その期間中の賃料を連帯保証人に請求できるようにしておくためには、極度額は「1年程度の賃料相当額程度」あれば、安心でしょう。

 

ただし、敷金を比較的小さめに設定している物件については賃料のほかに原状回復費用も連帯保証人に請求することも考えておく必要がありますので、1年程度の賃料相当額に原状回復費用の見込み額を加算した額を敷金預かりと連帯保証人への極度額の合算目安と考えておくべきでしょう。

 

加えて、この目安には違約金の類は含まれていないので、違約金の設定で実損害額の回収を図るなどの契約趣旨があるのであれば、その金額も積算する必要があります。

 

(2)一方で、書面に記載され明示されることとなる極度額が高額になると、連帯保証人の候補が、連帯保証に応じない(あるいは応じられない)ということもあるでしょう。

 

これらの2つの点を考慮して連帯保証人の極度額を設定することになります。

「月額賃料の10倍以上」の極度額を目の前にすると…

上記(1)(2)は、極度額としての金額設定について、一方で賃貸人の権利である「占有期間相応の未収賃料+原状回復費+違約金」を目安に設定すればよいという賃貸人の立場に沿った考え方がある反面、連帯保証人の立場では、巨額に上る金額を保証しなければならないのは許諾したくないという、二者の矛盾を生じることともなります。

 

従前は、極度額の設定が義務化されていなかったので、連帯保証人は代位支払いについてリスクの存在をさほど意識してこなかったようですが、月額賃料の10倍以上の極度額を目の前にすると、リスク顕在を意識することになります。

 

連帯保証人への適正な極度額の設定は、賃貸人としては当然なことですが、連帯保証人としては過大な金額として、設定が辞退されてしまうことが懸念されます。

 

専門の保証会社である私共であれば、敷金+保証支払限度額(極度額)=12ヶ月~18ヶ月程度に設定されることを推奨し、賃借人法人の財務内容を確認のうえ、保証をお引き受けしております。

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    本連載は書下ろしです。原稿内容は掲載時の法律に基づいて執筆されています。

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