前回は、「訪問系」の任意売却専門会社に警戒すべき理由を説明しました。今回は、悪徳な任意売却専門会社による、呆れたアプローチの事例を見ていきます。

事実上野放し!? 任意売却専門会社の「販促活動」

一昔前には貸金業者の非人道的な取り立てが大きな社会問題になりました。昼夜を問わない訪問や電話連絡、家の前で大声を上げる、違法に敷地内に侵入するなどの行為が頻発したため、その後貸金業法が改正されることとなりました。

 

改正貸金業法では督促の方法が厳しく制限されており、破ると罰せられるため、現在では貸金業者による違法な取り立てはほぼなくなっています。

 

ところが任意売却専門会社の販促活動については貸金業法のような規制がありません。事実上野放しになっているため、悪徳金融業者も真っ青という行為が現在でも平然と行われているのです。

家ノ前で大声を出す、郵便物や表札を盗む…

【悪徳業者の手口】

 

① 家の前で大声を出す

悪徳業者が多数押しかけるようになると、対応に困った債務者は居留守を使うようになります。業者の側はなんとか面談して専任媒介契約書に判を押させたいので、あの手この手を使います。その一つに「家の前で大声を出す」という行為があります。「家が競売になった○○さーん、いないんですか?」などと呼びかけ、近所の目が気になる債務者が慌てて出てくるよう仕向けるのです。

 

その他、所有者の帰宅を狙って夜に、あるいは朝早くに突然来訪したり、他の業者と接触させないように、車を玄関の前に横付けするなどの迷惑な行動を取ることも少なくありません。

 

②「裁判所のほうから来ました」など欺まん的なことをいう

業者だとわかれば居留守を使われるので、「裁判所のほうから来ました」などと嘘をつくことがあります。もちろん専任媒介契約を求める話の流れで、すぐに業者であることはバレてしまいます。債務者から「裁判所のほうから来たといったのに」と詰問されると、「方角的には裁判所がある北のほうからやって来たので嘘ではない」などと強弁します。

 

③ 水道を止める

②と同じく、居留守を使う債務者を家から出すため、悪徳業者は水道の元栓を閉めることがあります。通常、水道の元栓は家の外にあります。悪徳業者は勝手に敷地内に侵入して元栓をひねり、水道を止めてしまうのです。

 

居留守を使っていた債務者も、水道が止まれば家の外に出てきて元栓を確認しようとします。そこを狙って話しかけるため、悪徳業者は不法侵入も辞さないのです。

 

④郵便物を盗む

悪徳業者の中には債務者宅に届いた郵便物を盗むものもいます。私の会社のように訪問によるアプローチはせず、ダイレクトメールで任意売却の案内を送る会社が多数あるためです。悪徳業者の多くは零細なので、しっかりとした内容のあるパンフレットなどを作ることができません。そのため債務者が他の選択肢を目にすることがないよう、債務者宅の郵便受けをあさり、配達された郵便物を盗んでいくのです。

 

同じ目的で、債務者宅の郵便受けに粘着テープを貼る悪徳業者もいます。新たな郵便物が届かないよう、投函口をふさいでしまうのです。

 

⑤ 表札を盗む

競売の申し立てがなされた債務者宅では、表札がなくなってしまうことがしばしばあります。同業者のアプローチを妨害する目的で、悪徳業者が盗むためです。表札がないと、後から来る他の業者は債務者宅を見つけにくくなります。目的のためなら手段を選ばない事業者が訪問系の任意売却専門会社には多数含まれているのです。

本連載は、2017年2月13日刊行の書籍『住宅ローンが払えなくなったら読む本』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

住宅ローンが払えなくなったら読む本

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著者 矢田 倫基   監修 矢田 明日香

幻冬舎メディアコンサルティング

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