前回は、悪徳業者との契約を解除する方法を説明しました。今回は、住宅ローン破綻に至ってしまった場合、誰に相談すべきかを見ていきましょう。

相談先によって、債務者のその後はまったく違うものに

住宅ローン破綻にいたった人の事情は千差万別です。ニーズもそれぞれ違うので、生活再建に役立つ道筋を見つけ、実現するのは簡単なことではありません。対応を依頼する専門家によって、債務者のその後はまったく違うものになります。

 

誰に相談し、依頼するかで、その後の人生が変わるといっても過言ではありません。

 

相談先・依頼先を選ぶ時に大切なのは、住宅ローン破綻という問題に対して任意売却と法務が一体となったワンストップの対応が得られるかどうかというポイントです。住宅ローン破綻を適切に処理するためには、これまで説明してきたとおり債務者のニーズに寄り添う任意売却と債務者の利益を優先する法務という二つのサービスが欠かせません。

 

もちろんそれぞれの質も大切です。債務者が抱える問題の本質を見抜き、ニーズに応える適切な任意売却を実現するためには、金融機関との交渉や不動産売却の経験、ネットワークが必須です。

「複合的なサービス」を提供できる会社を選ぶ

成年後見人や相続財産管理人の選任、さらには債務整理などの法務は、任意売却と密にマッチしたものでなければなりません。「自己破産ありき」の法律事務所と不動産業者が業務提携しても、それぞれの利害が衝突するため一体化された対応は困難です。

 

任意売却専門会社は「自己破産前の売却で成功率を高めたい」と考えますが、法律事務所は「自宅を残した状態で自己破産し管財事件にしたい」と希望します。見ている方向が最初から違う提携がうまくいくはずはありません。

 

また債務者にとっては任意売却専門会社に説明したことを法律事務所でも説明せねばならず、負担がたいへん大きくなります。ただでさえ気が重い話を二度もするのかと考えると、それだけで気持ちが萎えるという債務者も少なくありません。

 

私の会社では私が任意売却を扱い、司法書士である妻が法務を扱うことで、ワンストップのサービスを提供しています。一つの会社なので任意売却と法務の利害が相反することはありません。

 

したがって債務者にとってより適切な対応策を提案することができます。たとえば相談を受けた内容により、「債務整理すれば家を売ることなく生活再建できる」と判断すれば、任意売却をすすめません。債務整理を請け負うことで収益をあげられるので、債務者にとって不要な任意売却を無理にすすめる必要がないのです。

 

まだまだ少数派ですが、今後は同様の複合的なサービスを提供できる会社がより求められる時代が来るはずです。

本連載は、2017年2月13日刊行の書籍『住宅ローンが払えなくなったら読む本』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

住宅ローンが払えなくなったら読む本

住宅ローンが払えなくなったら読む本

著者 矢田 倫基   監修 矢田 明日香

幻冬舎メディアコンサルティング

夢のマイホームを購入する際、多くの人が利用する住宅ローン。ローンを組む際は、通常、専門家のアドバイスを受けながら無理のない返済計画を立てますが、長い返済期間では何が起こるかわかりません。思わぬトラブルによって返…

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