前回は、相続対策のために「FP」とうまく付き合う方法について紹介しました。今回は、相続で失敗しないための「パートナー」の探し方・選び方を見ていきます。

まずは資産家向け無料相談会やセミナーに参加

前回の続きです。

 

相続は〝一家の命〟にかかわる重大な問題です。病気をしたときに医者選びが大事なのと同じくらい、相続ではパートナー選びが大事です。

 

医者が患者の身体や生活習慣を隅々まで調べるように、相続ではパートナーがあなたの一家の人間関係から財産、将来設計、家族の問題点などを、隅々まで調べます。そして、医師が効果のある薬を処方したり、メスで悪いところを手術して切り取ったりするように、パートナーが対策を講じたり、トラブルの種を取り除いたりなどを指南していきます。

 

下手な医者に治療や手術を任せると、後遺症が残ったり命を落としたりする危険もあります。相続でも下手なパートナーに任せてしまうと、一家がバラバラになったり、医業承継に失敗したり、相続税で苦しんだりします。そうならないためにも、パートナー選びは慎重に行ってください。具体的にはどうすればよいのでしょうか。

 

今は資産家向けの相続の無料相談会やセミナーなどが各地で開かれています。まずは、そういうところに足を運んでみて、「様子をうかがう」ことをしてみるといいと思います。その場でパートナーを見つけようと思わなくても、相手の雰囲気を見るとか、どんな相談に乗ってくれるのか、相談料やコンサルタント料の目安がどれくらいかなどを、ざっくりと感じることから始めるとよいと思います。何度か行ってみると、得体の知れなかった「相続」が何となく、薄ぼんやりと見えてきます。実体を感じれば本気で向き合う気持ちも湧いてくるでしょう。

相性の良さそうな人から絞る方法も

相手が良いパートナーかどうか、自分に合ったパートナーかどうかは、表面的には分かりません。無料相談のうちは相手もそんな突っ込んだ話はしてくれませんから、本当のところは分かりませんが、「この人はちょっと違う感じ」「わりと話しやすい」などの全体的な雰囲気や相性は第一印象のほうが当たる場合もあります。相性の良さそうな人のなかから、本当の味方になってくれる人を絞っていくと、失敗が少ないかもしれません。

 

インターネットで調べるという方法もあります。「相続、開業医、医業承継」などのキーワードで検索すれば、開業医専門のアドバイザーは少ないですが出てくるはずです。

 

最初の相談は無料で受けているところもあると思うので、いくつか問い合わせてみるのもいいと思います。そのとき大事なのは、肩書だけで選ばないことです。「税理士だから大丈夫」「ファイナンシャルプランナーだから生保に強い」という思い込みが危険であることは、前回にも述べたとおりです。

本連載は、2016年5月27日刊行の書籍『相続破産を防ぐ医師一家の生前対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

相続破産を防ぐ 医師一家の生前対策

相続破産を防ぐ 医師一家の生前対策

井元 章二

幻冬舎メディアコンサルティング

医師一家の相続は、破産・病院消滅の危険と隣り合わせ 今すぐ準備を始めないと手遅れになる! 換金できない出資持分にかかる莫大な相続税 個人所有と医療法人所有が入り乱れる複雑な資産構成 医師の子と非医師の子への遺…

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