今回は、棚卸資産の「廃棄処分」による節税の実践法を見ていきます。※本連載は、オーナー企業へのコンサルティングサービスに強みを持つ、税理士法人アーク&パートナーズの著書『会社の節税をするならこの1冊』(自由国民社)の中から一部を抜粋し、売上・仕入れ・製造に関する「節税ポイント」を紹介します。

棚卸資産を廃棄処分し、廃棄損として損金に算入

■棚卸資産の評価損の計上

棚卸資産を利用した節税対策としてよく目にするのが、棚卸資産の評価損を計上することで、利益が減少し税金も減るという節税対策です。確かに、棚卸資産の評価損の計上は資金流出を伴わないので節税対策として有効です。しかし、この評価損の計上にあたっては期末棚卸の評価により、いかようにも利益操作が可能であるため、税務調査時においてもトラブルが多く見られるところでもあります。

 

そこで、棚卸資産の評価損の計上ではなく、売れる見込みがなくなってしまった棚卸資産(いわゆるデットストック)を、実際に廃棄処分することにより廃棄損として損金に算入する方法があります。

 

■棚卸資産廃棄の勧め

棚卸資産の廃棄は実際に在庫を廃棄して、その原価部分を損失に計上することにより、利益が減少し税金も減るという節税対策です。実際に廃棄という事実を伴うため、棚卸資産の評価損の計上よりも確実で、税務調査時においても争いは少ないところです。

 

また、在庫が長期間保管されているような場合には、その在庫に関して様々な維持管理コスト(倉庫賃借料、保険等)がかかっており、売れる見込みのない在庫にお金をかけるのは経営上もムダといえます。

 

よって、売れる見込みがない在庫をたくさん抱えているのであれば、これを機会に在庫を一掃することで、管理コストの削減と税金の減少という一石二鳥になるのではないでしょうか。

廃棄処分を「社内決済した証拠」を残しておく

■棚卸資産廃棄の方法

実際に棚卸資産を廃棄する場合、廃棄処分を社内決裁した証拠を残すために、議事録を作成しておくとよいでしょう。また、決算日までに廃棄業者から、廃棄業者が引き取った証拠(廃棄証明書など)を取得しておけば問題ないでしょう。実際に廃棄するという行為が必要なので、期末日までには必ず廃棄業者に引き渡す必要があります。

 

■棚卸資産廃棄の注意点

注意点としては決算日直前に廃棄業者に頼んだ場合、決算日までに廃棄(廃棄業者に引き渡すこと)ができない可能性があるということです。決算日までには必ず廃棄業者に引き渡せるように、余裕をもって手配することが必要です。

 

<ポイント>

●棚卸資産の評価損の計上より廃棄の方が確実に損金に算入できる。

●棚卸資産の管理コストを削減できる。

●実際に廃棄する(廃棄業者に引き渡す)。

会社の節税をするならこの1冊

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1円でも多くお金を残して財務体質を強化しよう! 会社のためになる、無駄遣いにならない、厳選したテクニックのみを紹介。法人税を中心に、消費税、所得税、相続税などの節税テクニックを解説。経費の処理、計上の仕方などの計…

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