前回は、配偶者が受けられる「相続税の税額軽減」について説明しました。今回は、未成年者等が受けられる相続税の「税額控除」について見ていきます。

満20歳になるまでの年数に、10万円をかけた額が控除

北井 配偶者以外に未成年などでも控除が受けられます。未成年者については「相続人になったときには特別な税額控除が受けられる」という利点があります。

 

相子 なるほど。相続人が大人か子供かで税額が違うようになっているんですね。

 

北井 はい。計算はとても簡単です。控除額は満20歳になるまでの残りの年数に10万円をかけた額です。年齢の端数は切り捨てられるので、たとえば12歳と6か月の子供が相続人の場合は12歳として計算されます。

 

[未成年者の相続税控除額の計算例]

●Aくん(12歳6か月)の場合

控除額=(20歳-12歳)×10万円=80万円

 

●Bくん(15歳2か月)の場合

控除額=(20歳-15歳)×10万円=50万円

障がい者の場合は、85歳になるまでの年数×10万円

相子 もし控除額のほうが税額より大きい場合はどうなるんですか?

 

北井 その場合には差し引けない分を親など扶養義務を負っている人の相続税額からも減額します。ちなみに子供だけでなく、障がい者についても同様の控除制度があります。障がい者の税額控除を受けるためには相続や遺贈を受けた年齢が85歳までという条件があります。

 

相子 未成年者と同じような計算方法で控除額が出せるのですか?

 

北井 はい。障がい者の場合は85歳になるまでの年数に10万円(特別障がい者は20万円)をかけて求めます。こちらも相続税額より控除額が大きい場合には、扶養義務者の相続税額から差し引くことができます。

 

[障がい者の相続財産控除額の計算例]

●Cさん(35歳3か月)の場合

控除額=(85歳-35歳)×10万円=500万円

 

●Dさん(51歳9か月)の場合

控除額=(85歳-51歳)×10万円=340万円

 

<まとめ>

●葬儀関連費用には控除対象になるものとならないものがある

●子供の教育費は贈与税の優遇がある

●配偶者には大きな優遇枠がある

●未成年者・障がい者には一定の控除枠がある

●相続関連費用でも相続発生後に生じたものは控除できない

本連載は、2016年12月14日刊行の書籍『「相続」のことがたった1時間でわかる本』(幻冬舎メディアコンサルティング)から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

「相続」のことがたった1時間でわかる本

「相続」のことがたった1時間でわかる本

北井 雄大

幻冬舎メディアコンサルティング

相続税の納税資金が足りず資産を手放すことになった、知らぬ間に親が多額の借金をしていた、相続財産の分配について家族間で争いが起こった…。相続では、正しく対策を打っておかなければ、残された家族が大きなトラブルに巻き…

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