今回は、マンションのリスクとマンション総合保険の対象範囲について見ていきます。※本連載では、マンション維持管理支援・専門家ネットワークの編著書『管理組合・理事のためのマンション管理実務必携』(民事法研究会)の中から一部を抜粋し、マンション管理組合に関連する「会計と税務」の基礎知識を紹介します。

マンションの多様な賠償事故リスク

火災、爆発、落雷、風災、雪災、水ぬれ、破損、汚損など、マンションの賠償事故リスクは多様です。上記のような各種の事故による損害のほか、地震による損害や電気的・機械的事故、個人の賠償責任となる事故などが考えられます。

 

マンションを取り巻くリスクを考えた場合、マンションに損害保険をかけておかないと、事故が起こり、管理組合が責任を負う場合、管理組合の費用負担で損害を補償することになりますので、保険を賢く利用することが重要です。

共用部分の範囲を決める「上塗り基準」と「壁芯基準」

マンション総合保険は、建物の共用部分および共用部分に収容される区分所有者共有の動産が対象となり、マンションの専有部分は、対象になりません。具体的には以下のとおりです。

 

①専有部分以外の建物の部分

②専有部分に属さない建物の附属物で建物に直接附属する設備

③専有部分に属さない建物の附属物で建物に直接附属しない設備

④管理規約により共用部分となる建物の部分または附属の建物

⑤①~④までに掲げる部分にある畳、建具その他これらに類する物

⑥①~⑤に収容される区分所有者共有の動産

 

なお、マンションの共用部分の範囲を決める基準として、上塗り基準と壁芯基準があります。

 

「上塗り基準」とは、共用部分と専有部分の境界を天井、壁、床など部屋の内側とする基準です。

 

「壁芯基準」とは、共用部分と専有部分の境界を天井、壁、床などの真ん中(芯)とするものです。

 

共用部分と専有部分の区別については、管理規約に定められていますので、確認しましょう。

 

[図表] 壁芯基準と上塗り基準

本連載は、2017年3月25日刊行の書籍『管理組合・理事のためのマンション管理実務必携』から抜粋したものです。稀にその後の税制改正等、最新の内容には一部対応していない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

管理組合・理事のためのマンション管理実務必携―管理組合の運営方法・税務、建物・設備の維持管理、トラブル対応

管理組合・理事のためのマンション管理実務必携―管理組合の運営方法・税務、建物・設備の維持管理、トラブル対応

大江 京子 山野井 武 佐伯 和彦 祢宜 秀之

民事法研究会

マンションに関する法律等の基礎知識はもちろん、会計・税務やコミュニティ条項、民泊など管理組合運営で気になる点をわかりやすく解説。民泊に関するモデル規約・細則も明示。

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