統合の度合いによって5段階に分類
地域的経済統合は、その統合の度合いによって5つの段階に分けることができます(図表1)。この表の下に行くほど統合の度合いが強くなります。
[図表1]経済統合の諸段階
以上の違いを図示すると、次のようになります。
まず、WTOの原則は、ある国に与えた最も有利な貿易条件(= 最恵国待遇)をすべてのWTO加盟国に与えるというものです。したがって、すべての国に同じ関税率を適用しなければなりません(図表2)。
[図表2]WTOにおける原則
加盟国内の関税がゼロになる「FTA」
これに対してFTAの場合、FTAを結んだ国に対しては関税をゼロにすることができます(図表3)。FTAと似た概念にEPA(経済連携協定)がありますが、これはFTAより広い概念で、貿易だけではなく、外国人労働者を受け入れるルールや、お金の移動を自由にする投資規定なども含んだものです。FTAやEPAは1990年代に入ってから急増しています。
FTAやEPAには、貿易創出効果と貿易転換効果という二つの効果が生まれます。貿易創出効果とは、域内の関税が撤廃され、域内の貿易が拡大する効果をいいます。
[図表3]FTA(またはEPA)を結んだ場合
一方、貿易転換効果とは、関税を課される域外からの輸入をやめて、域内の国からの輸入に置き換える効果をいいます。一方、関税同盟の場合は、同盟を結んでいる域内では関税が撤廃され、外国(域外)からの輸入には共通関税をかけることができます(図表4)。
[図表4]関税同盟を結んだ場合