パチンコホールはもともと利益率が低い業種
パチンコホールはもともと利益率の低い業種です。粗利益は「貸玉売上高」から「賞品提供高」を差し引いた金額で表されますが、その粗利益の売上に対する割合──粗利益率は一般的に15~20%程度にとどまります。
この数値がいかに低いかは、他業種を見れば一目瞭然です。たとえば外食店における「粗利益率」は70%程度とされ、60%を割り込むと経営はほぼ不可能と言われています。競馬や競輪などの公営ギャンブルは25%、宝くじは50%などとなっており、パチンコの粗利益率は他の事業と比較してかなり低いのです。
その上、最終的なホールの利益は、この粗利益からさらに人件費や販売費用、管理費などを引いたものになるため、経営を維持するには徹底的なコスト管理による収益のコントロールが欠かせません。
遊技客が減った理由は経営者が判断するしかない
そこで重要になるのが、コンピュータにより毎日収集されている「データ(情報)」です。
ご存知のとおり、パチンコ業界では遊技機をはじめとしたデジタル化が進んでおり、貸玉数はもちろん、出玉や回転率などさまざまな情報が台ごとに日々収集・蓄積されています。これは他の業界に比べて、収益コントロールをする上での大きなアドバンテージとなります。
ただし、コンピュータはあくまで「玉の出入り」に関するデータを示すものであり、数字の変化が何を意味するのかは教えてくれません。
遊技客が減ったのは入れ替えた機種に魅力がないせいなのか、近隣の競合ホールが大規模なキャンペーンを打っているせいなのか、それともスタッフが提供するサービスの質が悪化しているためなのか──こうしたことは経営者自らが判断しなければいけないのです。
しかし、ジリ貧状態にある中小ホールの経営者は、日々の結果だけに注目し、データを分析することがありません。せっかくのアドバンテージを活かすことなく、これまでの経験則やネットなどで目にした情報に頼った営業を続けているのです。