前回は、途上国の不動産投資の留意点について説明しました。今回は、海外不動産投資で日本人がトラブルに遭いやすい理由を見ていきます。

海外不動産投資の仕組みを理解せずに購入する日本人

海外不動産でどうしてトラブルが起きるのか。業者の質が悪いのもありますが、日本人がその仕組みを理解していないのが理由です。

 

そもそも発展途上国では、日本のような客付会社、管理会社がないというケースもあります。そういった購入後の賃貸経営まで考えている投資家は少なく、売れなくて困っているケースの他に、竣工したものの貸し出せなくて困っているという話もあります。

 

日本の不動産投資と同じで、購入前にきちんとシミュレーションしてから買うべきです。安易に「値段が上がるから、買っておいた方がいい」というのは投資ではなく投機です。基本的に、ドカンと儲かるということは、おそらくありません。そんなにいい話が日本人の一投資家に来る方がおかしいと思うべきでしょう。

 

デベロッパーは販売会社、仲介業者はもちろん売買の仲介を行うのが業務ですから、客付けしないのも当たり前です。

日本のサービスに慣れていると海外不動産投資は難しい

細かいところでいえば、日本では「○月〇日に引き落としします」といった手紙がやってきますが、フィリピンでは一切そのような通知はありません。また、竣工予定がずれても、その詳細を知らせてくることもありません。

 

それもあって最終の一括支払いのタイミングを把握しておらず、資金繰りがうまくいかず、損を承知で売却する人もいるのです。

 

考えてみると、別に騙されているわけではないのですが、日本の場合は仲介業者がワンストップで面倒を見てくれる傾向にあります。当社もそうですが、物件の紹介だけなく金融機関の紹介もしますし、火災保険や管理会社の選定まで行っています。そういった日本ならではのきめ細やかなサービスが当たり前だという感覚では、海外不動産投資は難しいように感じます。

 

特に途上国では、まだ仕組みができていませんから、業者がそこまで行うことは難しいです。投資家自身があらゆるところで交渉していく必要があります。しかし日本人だとそれができません。よく仕組みを理解してない上、かつ少ない資金でやっているため、予定外の事態が起これば、慌てて売却するしか方法がありません。それでは、お金が増えるどころか失うばかりです。海外不動産の場合は、ある程度の余裕資金があった上で行うべきですし、現地に信頼できる人がいる人以外は、あまり手を出さない方がいいかもしれません。

 

私の場合、フィリピンのセブ島で、知り合いが日本人の英語留学の学校をやっています。その方は日本人なのですが、現地のフィリピンの方と結婚されて、不動産の仕事もされています。その人は本当に信頼できるので、そういったトラブルは一切聞きません。

 

また、海外不動産であっても、日本の不動産と同様にシミュレーションを行うべきだと思います。海外不動産をやっている方で、そこまでやっている人はあまりいませんが、出口についても仲介業者の言葉を鵜呑みするのではなく、常に相場を意識していきましょう。

不動産投資の嘘

不動産投資の嘘

大村 昌慶

幻冬舎メディアコンサルティング

融資のこと、業者のこと、出口戦略のこと…不動産投資において知っておくべき情報は数多く存在する。 これから投資を行おうと思っている人、実際に投資を行っている人の多くは、本やセミナーから多くの情報を得る。しかし、そ…

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