工期が短く、市役所の認可も取りやすいことで話題に
ニュージーランドの家は、たとえ築100年であっても住むことができます。「えっ、築100年!?」とほとんどの方は驚きますが、もちろん100年の間何も手を加えていないわけではありません。家を継いだ人が代々備品を交換し、改装して維持しているのです。
そんな中、「リロケーションハウス」という、外枠だけ残した家を中古物件として販売する業者がいます。今回は、実際に今開発されている2件の事例を見ていきましょう。
リロケーション開発の事例①
ワイカト地方に、プタルルという街があります。広大な牧草地を越えた先、温泉の町「ロトルア」へ行く手前に位置しています。水がきれいな街として、ニュージーランドでは有名な酪農の町なのです。
約1000平米の土地に、現在2LDKのユニット2軒が建っています。その横に空き地があり、そこへリロケーションの家を持ってくるのです。もともと空き地には、倉庫が設置してありましたが、リロケーションハウス設置のため倉庫を解体し、更地にしました。
さて、このリロケーションハウスですが、実は探すのに一苦労。もちろん、多くの物件が売りに出ていますが、開発する空き地のサイズに合う家を探すのは大変なのです。また、たとえ家自体が安くても、家の改装費に費用がかかると割高になってしまうので、改装をどの程度まで行うか、検討する時間も要します。
今回購入したリロケーションハウスは、もともと農家の母屋的な家でした。物件の横には井戸があります。内装は思ったより良好で、ついこの前まで家族が住んでいたとのことでした。この家をジャッキで持ち上げ、夜中にトラックで家を移送させるのです。人員3名で空き地へ設置することができます。
さて、倉庫を解体して作った更地に、下水道管、電線を整え、市役所の認可も経て工事を完了させます。
家を移動したら、更地にそのまま置けばいいと考えていましたが、どの位置に設置をしたのか、また1軒当たりの家の土地数も計算・報告した上で、市役所の認可を得る必要があります。
開発にはだいたい3〜4ヶ月はかかりますが、新築を一から建設するよりも工期が短く、市役所の認可も取り易いため、ワイカト地方では、リロケーションハウスの開発が盛んです。
前後に家が建っているほうがリロケーション開発は容易
リロケーション開発の事例②
約1100㎡の土地の真ん中に、4LDKの家があります。これをジャッキで持ち上げて、後ろに移動させた事例です。
ガレージもあったのですが、そちらは壊してしまい、家がもともとあった場所にはカーポートを作成します。家は内装を変え、カーペット交換や壁のペンキ塗りを行います。
道路から前の土地にリロケーションハウスを設置するのですが、現在その家屋を探している最中です。
2LDKの家を2軒設置するか、3LDKの家を設置するか・・・悩みどころです。建設業者は、上記リロケーション開発事例①のような左右に建つ家よりも、リロケーション開発事例②のように、前後に建つ家の方が開発しやすいと言います。下水管が道路からつながっているため、前後の方が延長がしやすいからだそうです。左右に家が建っていると、延長線が長くなったり、工事費がかかるとのことです。
そういった提案もいただきながら、我々はリロケーション開発がし易い物件を日々探しています。空き地があればいいというわけではないので、難しいところです。