今回は、FX取引の基本的な注文方法「成行」「指値」「逆指値」について説明します。※本連載では、株式会社アルフィナンツ・代表取締役で、経済アナリスト/FXステラジストとしても活躍する田嶋智太郎氏の監修書籍、『一週間で身につくはじめてのFX』(ナツメ社)より一部を抜粋し、「負けないFX」を実現するための基礎知識をご紹介します。

注文を出した時点の価格で売買する「成行」

FXの取引をするとき、注文方法にはいくつかの種類があります。大きく分けると「成行(注文)」「指値(注文)」の2種類です。「指値」は、価格を指定して取引することですが、指値のなかにはほかに「逆指値」と呼ばれるものがあります。

 

さて、「成行」とは、注文を出した時点での価格で売買する発注方法のことです。実際には発注しても瞬時に約定するわけではないので多少の約定価格の前後はありますが、ほぼ発注時の価格に近いものが反映されると考えていいでしょう。とにかくすぐに売買したい場合に利用する注文方法です。

 

「指値」とは、売買する値段を決めて発注する注文方法のことです。決めた値段になったら約定しますが、ならなければ売買取引は成立しません。「この値段になったら発注しよう、または利益を確定させよう」というときに利用する注文方法です。例えば「1ドル=110円50銭になったらドルを買う」というような注文をします。

 

逆指値の意味を正しく覚える

「逆指値」とは「指値」と同じ考え方の注文方法ですが、現在の価格よりも不利な値段で発注する注文方法のことです。わざわざ不利な注文をするなんて、と考えがちですが損切りや最低限の利益確定をするために利用する重要な発注方法です。

 

発注では、「必ずしもその値段で約定するとは限らない」ということです。為替の変動が急激に起こった場合、「スリッページ」と呼ばれる現象が起こり、「指値」や「逆指値」で指定した値段とはずれた値段で約定することがあるのです。

 

逆指値で損切りを限定していても大きな損失を被る危険性がないとはいえません。逆に指値の場合、想定よりも多くの利益を得られる可能性があります。いずれにしても、「通貨が大きく動くポイント」では気を付ける必要があります。

 

また、取引量の少ない通貨の場合、売りや買いにばかり注文が集中してしまい、取引自体が成立しにくくなることもありえます。

 

[図表1]FXの多彩な注文方法を駆使しよう!

連続する注文を1回で出せる「IFD注文」

常時、パソコンに張りついていられない人のために、指値注文、逆指値注文をうまく組み合わせる注文方法があります。「IFD注文」「OCO注文」「IFO(IFDOCO)注文」です。

 

「IFD注文」とは、2つの指値注文がセットになっている注文方法です。例えば、「『1ドル=110円』になったらドルを買って、『1ドル=112円』になったらどのドルを売る」というような注文方法です。2つめの注文はひとつめが約定しない限り有効にはなりません。

 

前記の例は「指値注文」ですが、損失をここで食い止めたいという場合の「逆指値注文」でも使えます。ポジションを持つための注文と損失の歯止めをかけるための注文を同時に発注するわけです。

 

ひとつめの注文が約定したあとで、利益が出る方向に為替相場が動いた場合には、2つめの注文をキャンセルして成行で利益を確定させればいいと考えるケースで使えます。

 

[図表2]IFD注文を活用しよう!

 

<はみだしコラム>FXはすべる?

パソコンやスマホ上の価格でクリックしたのに約定したときは違う値段だった。これがスリッページといわれる減少で、「すべる」ともいう。スリッページ幅は自身で決められることが多いので、思わぬ不利な約定をしないためにも、事前に設定しておくことも重要だ。

一週間で身につくはじめてのFX

一週間で身につくはじめてのFX

田嶋 智太郎

ナツメ社

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