高利回りで多くの投資家を魅了するスペイン不動産市場
世界的に有名なイギリスの大手不動産会社ナイトフランク社は、2015年はヨーロッパの中でスペインが一番の不動産投資対象国だったと発表しました。また、150人の著名な個人投資家・投資会社の中で27%が、今後3〜5年後に不動産投資をしたい対象国としてスペインを選びました。
ナイトフランク社のハンフレイ・ホワイト氏によると、不動産バブルがあった2008年には及ばないものの、2014年よりスペインへの不動産投資は著しく増加し、過去12ヶ月でオフィスの賃貸率は前年に比べて20%増加、ショッピングセンターの賃貸投資は、2104年第1期から2015年第2期までの過去6期間上昇しているとのことです。
ヨーロッパの不動産投資対象国として、スペインの次にドイツ、イギリスが挙げられていますが、スペインに比べるとすでに不動産市場が定着しており、利回りの上昇が少ないため、投資家たちは来年度のスペインの不動産投資にも強い関心を寄せています。
●2015年後期から今後3〜5年後に不動産投資したい対象国
スペイン・・・26.8%
ドイツ・・・25.4%
イギリス・・・17.4%
ベルギー・ルクセンブルク・・・ 8.7%
フランス・・・ 5.8%
ポーランド・・・ 5.1%
他の南欧諸国・・・ 3.6%
北欧・・・ 2.9%
ロシア・・・ 2.2%
中央・東ヨーロッパ・・・ 2.2%
(ナイトフランク社調べ)
2016年は不動産投資に絶好のタイミングとなる!?
不動産投資をする市場のサイクルとタイミングを見極めることは非常に重要です。スペインにおける2008年の不動産バブル崩壊については、世界中によく知られています。
スペインの不動産市場は、リーマンショックがあった2007年の翌年である2008年から崩壊し始め、2013年には新築物件、中古物件も不動産価格が底をうちました。しかし、2014年からは、経済の回復と共に不動産価格が少しずつ上昇し続けています。2014年からは、国内外の個人バイヤーが再び増加しています。
●スペイン不動産市場の動き
スペイン国立統計局INE(Instituto Nacional de Estadistica)より。
スペイン住宅価格平均指数2007年平均価格を基準とした。
世界中から集まる学生が不動産賃貸料を上昇させる
2012、13年度のスペインは、他国から40,202人の学生を受け入れました。EU33国のうち、スペインは学生の受け入れが一番多い国であり、学校が始まる9月頃になると、EU圏内だけでなく、各国の学生がスペインに来て賃貸物件を探します。近年は世界のトップ5にはいるIESEやESADEという有名なビジネススクールを中心に、各国から多くの学生が押し掛けているのです。
そのため、この時期になると賃貸物件が不足がちとなり、賃料が上がっても契約したいと考える学生やその家族がいます。したがって、賃料は近年値上がりしており、例えば2015年上半期のバルセロナは、スペインでもっとも高い12,9ユーロ/㎡となり、前の年の2014年よりも1ユーロ/㎡以上上昇しています。
スペインの大手不動産検索ポータルサイトは、不動産を購入して賃貸経営を行った場合、2015年前期で最も収益率が高いのはカナリア諸島の5.5%、次にカタルーニャ州の5.4%であると発表しました。
カナリア諸島はアフリカに近いスペインの自治州で、スペイン人にとって日本の沖縄のような場所にあたります。特に夏になると、多くのスペイン人をはじめ、ヨーロッパの観光客が訪れます。また、カタルーニャ州はバルセロナ市を州都とし、このバルセロナ市は観光客の訪問者が全世界で3位になっています。
大手不動産検索ポータルサイトの担当者によると、スペインの近年の住宅販売価格の上昇は賃貸料金の上昇率より低いため、収益率が上がってきているとのことです。
●バルセロナ市の賃貸物件平均1㎡の単価