写真:GTACスタッフ

北海道と同程度の面積のスリランカで、いま各主要都市を結ぶ高速道路整備が進んでいます。今回は、都市化と高速道路整備の最新事情と、それらが不動産投資に与える影響についてご説明します。

経済構造の転換により都市化が進む

いま、スリランカにおける不動産投資が抱えている課題は政治の安定性だ。現在の不安定な政治状況下では長期計画を立てることや、未来図を描くのが困難であり、不動産投資をする資金力がある投資家たちは、身の振り方を慎重に考えなければならない。ここ10年間のスリランカを作り上げた経済政策は、この先も続くだろうと予測されていたが、この9ヶ月で政策は迷走し安定性に欠ける有様へと転落してしまった。

 

賢明な投資家は、このように政治状況が不安定であれば、どの政党が政権を握ろうと関係なく成長が見込まれる事業分野に、資金を集中させるだろう。

 

この中で浮かび上がるポイントは、スリランカで今後も進む都市化だ。スリランカの都市化は、地域経済からサービス業と製造業を基盤とした高度経済への構造転換によって推し進められた。この流れは70年代から始まり、そしてこの20年でさらに加速されている。そしてこの動きは、政治とは無縁の民間セクターによってもたらされてきた。

高速道路の開通で高騰する近隣地域の地価

ここ5年~10年での都市化は、主要都市をつなぐインフラ投資によって進んできた。2011年に開通した南部高速道路によりコロンボと南部のゴールがつながり、南部海岸沿いの地価が吊り上がった。ゴール旧市街の地価の急上昇ぶりは、もはや伝説となっているほどだ。

 

スリランカの都市開発の次なる一歩はどのようなものになるのだろうか。政治状況がどうなろうと、国は引き続き高速道路網を拡張するだろう。南部高速道路の開発をきっかけに南部海岸地帯の経済が大きく成長したことで、インフラ開発は政府にもっとも期待されることになっている。

 

そのためか高速道路の更なる開発をめぐる議論は、開発そのものを進めるか否かではなく、その工事内容についての話題に集中している。次に着手される大型プロジェクトはコロンボとキャンディ間を結ぶ高速道路計画になるだろう。なぜなら、この計画は旧政権も現政権も重要視しているからだ。

 

結局のところ、不動産投資に要求されるのは細やかな作業だし、そもそも実際に特定の土地を買う必要がある。そこで、どの土地を購入すればいいのかという疑問が当然出てくる。これまで述べてきたように投資戦略においては、高速道路の通過点予測が重要となる。というのも、価格の急騰が最も見込まれるのは高速道路沿いの不動産や開発事業だからだ。

 

幸運にも、現政権は旧政権が策定した高速道路計画を維持している。唯一の変更点は、後から提案されたEnderamullaではなく、当初の予定どおりKadawathaを通過点とすることとしたぐらいだ。

 

次回は、交通渋滞に悩まされているコロンボの都市計画についてご説明します。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2015年10月に掲載した記事「Sri Lanka’s economic transformation and real estate」を、翻訳・編集したものです。

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