前回は、収益性を徹底的に重視したい「相続対策としての賃貸経営」について解説しました。今回は、賃貸経営における空室リスクに備える方法を見ていきます。

報酬の増額、他社交渉をほのめかし、仲介業者と交渉

前回の続きです。

 

では、賃貸経営を一例に、いかに収益確保を実現していけばいいのでしょうか。

 

収益確保を左右するカギの一つが、空室リスクへの対処ですが、安定的に収益を上げているオーナーは、管理会社に全てを任せっきりにするのではなく、必ずご自身で工夫、経営努力をしています。

 

また、書籍『あなたの資産を食い潰す「ブラック相続対策」』2章では、建物を建てる前の事業計画書や収支プランのチェック法についてポイントをいくつか挙げましたが、ここでは竣工後の物件の仲介をする不動産仲介業者との付き合い方についても触れておきましょう。

 

街の不動産屋さんで賃貸物件を探した経験をお持ちの方もいると思いますが、その際の話の運び方としては、家賃や間取り、場所などの希望を伝え、「お望みの条件なら、この物件がオススメですよ」と、不動産仲介業者の人がピックアップした複数の候補の中から、現地に行き、判断するケースが一般的です。

 

そう、入居を決めるのは入居者ですが、その誘導をするのは不動産仲介業者です。つまり、同じような物件が多数あるとするならば、その中から何を勧めるかは彼らのさじ加減一つといっても過言ではありません。

 

そのインセンティブを効果的に働かせる上で、賃貸アパートの場合、成功報酬の広告料として家賃1カ月分を仲介業者に払うのが基本ですが、そこを「決めてくださったら、ウチは2~3カ月分払いますよ」と交渉する手もあります。そうすると、数多く抱えている物件の中でも、紹介する優先順位が上がってくることが期待できるわけです。あるいは、複数の仲介業者に依頼していることをほのめかし、競争心をあおるのも一つのやり方です。

建築コストについてはシビアな感覚を持ち続ける

もちろん、物件の質についても平均レベル以上をクリアしておくことは必須条件ですが、不動産仲介業者のインセンティブをアップさせる、あるいは後々リフォームをするなどの集客コストを事前にプールしておくためには、当初の建築コストを必要以上にかけすぎないことも大事です。

 

住宅メーカーは、"差別化"を謳い文句に、設備・内装のグレードアップなど、高額な仕様を提案しがちです。「集客力を上げるため」というのが彼らの言い分ですが、先に例で挙げたデザイナーズマンション然り、いかに豪華な物件でも、周囲の環境、相場に合わなければ、なかなか入居者が決まらないのが実情です。さらに、いくら差別化を図ったつもりでも、新たな競合マンションが登場すれば、どんどん陳腐化していくものです。

 

家を建てるとなると、ついつい「こんなオシャレなマンションがいい」「最先端の設備を備えた部屋にしたい」などと夢が広がるものですが、あくまでもこれはビジネスであり、相続対策の一環でもあります。そうでなくとも、住宅建築に関しては大きなお金が動くためか、金銭感覚がマヒし、「100万~200万円ぐらいの差額は誤差のうち」ともなりがちです。いわば、披露宴にかかるお花代などのオプションサービスと同じですね。

 

しかも、その場で終わるイベントの披露宴はまだいいとしても、賃貸経営は長期スパンで継続していくものです。相続を見据え、安定経営をしていくためにも、冷静さをもって見積もりをチェックし、最初の余分なコストをなるべく圧縮していくことも、収益確保の重要なポイントとなります。

本連載は、2016年10月9日刊行の書籍『あなたの資産を食い潰す「ブラック相続対策」』(幻冬舎メディアコンサルティング)から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

あなたの資産を食い潰す 「ブラック相続対策」

あなたの資産を食い潰す 「ブラック相続対策」

秋山 哲男

幻冬舎メディアコンサルティング

恐ろしい「相続対策の裏側」と「知っておくべきポイント」を大公開! ・相続税対策のうち8割が実は不要!? ・バックマージンが横行する業界の実態 ・相続後にお荷物と化す無意味なアパート・マンション ・税理士のうち約半…

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