前回は、保有倉庫の収益改善の成功例をご紹介しました。今回は、テナントとのトラブルも無事解決した工場投資の成功事例を見ていきます。

「ペットボトルの回収所」のはずが・・・

成功例⑧ ― テナントとのトラブル解消で安定収入を

 

テナントとの間で起こったトラブルを無事に解決して、安定した収益を上げ続けているケースを紹介しましょう。

 

Hさんは東京の湾岸エリアで購入した倉庫を、産廃業者の丁社に貸し出しました。オーナーの中には、建物が汚されることを警戒してか、産廃会社がテナントになることを嫌がる人もいます。Hさんも当初はあまり積極的ではありませんでしたが、「ペットボトルの回収所として利用するから汚れることはない」という丁社の言葉を信じたのです。

 

ところが、丁社はHさんとの約束を反故にしました。借りた倉庫を、生ゴミの処理場として使いだしたのです。倉庫内にはすさまじい悪臭が発生し、また回収してきたゴミを大量の水でジャバジャバと洗ったために建物はサビだらけになりました。

 

 

Hさんは、丁社に対して生ゴミの処理をやめるよう何度も何度も訴えました。しかし、聞き入れてもらえず、困り切った末に「何とかしてもらえないか」と当社に駆け込んできたのです。

 

まず、当社は丁社に対して、「約束が守られなかったためにHさんが多大なストレスを抱えている」ことを伝えて善処を求めました。その上で丁社の言い分にも耳を傾ける姿勢を示したところ、「約束を破ったのは申し訳ない。しかし、経営が立ち行かなくなるので、生ゴミの処理はさせてほしい」と訴えてきました。

 

当社が間に入り、Hさんと丁社双方の納得できる妥協点を探ったところ、最終的に、大量の水を使っても傷まないように、丁社が建物に加工を施すことを条件に、生ごみの処理を認めることになりました。

 

このように、オーナーとテナントがともに相手の要望を受け入れる形で問題を解消することに成功しました。雨降って地固まるではありませんが、その後、両者の間には全くトラブルが発生せず、現在も良好な関係を維持しています。

工場・倉庫投資なら利回り14%のケースも

本連載で取り上げた工場・倉庫はどれも全て高利回りで運用されています。

 

たとえば、「成功例②タダで手に入れたオンボロ工場が”変身”」したケースは、土地の代金だけで建物を購入することができました。土地の広さは80坪、1坪あたりの価格は80万円なので、6400万円です。ボロボロの建物をそのままの状態で、月50万円、年間600万円の賃料で賃貸しています。

 

テナントは自らの費用で建物をリフォームする契約ですが、既存壁の撤去代として前のオーナーが200万円を負担することになりました。その負担金200万円を差し引けば、最終的な投資資金は6200万円です。

 

したがって、利回りは9.7%(600万円÷6200万円)になります。

 

また「成功例③騒音が発生してもクレームゼロの工場」例では、工場をやはり土地代金のみで購入しています。土地の広さは108坪で1坪あたりの価格は45万円なので、投資金額は4860万円です。

 

毎月56万円、年間672万円で貸し出していることから、利回りは14%(672万÷4860万)になります。廃墟に等しい建物であるにもかかわらず、投資した資金を10年もしないうちに回収できる計算です。

 

こうした成功例が示すように、工場・倉庫投資では10 %以上の利回りを実現することが決して難しくありません。不動産投資を考えている人は、ぜひ、工場・倉庫を投資対象の有望な選択肢の一つとして前向きに検討してみてください。

 

 

マンションに比べて工場・倉庫に対する注目度は低いため、高利回りが約束された”お宝物件”は、まだまだ数多く市場に眠っています。今が工場・倉庫投資を始める絶好のチャンスなのです。

本連載は、2016年7月27日刊行の書籍『「工場・倉庫」投資のススメ』(幻冬舎メディアコンサルティング)から抜粋したものです。

「工場・倉庫」投資のススメ

「工場・倉庫」投資のススメ

三浦 孝志

幻冬舎メディアコンサルティング

高齢化と人口減少により、空室率が上昇し続けているアパート・マンション。都心部の一等地にあるような立地条件のよい物件か、付加価値の高い築浅物件でもないかぎり、もはやアパート・マンション投資で儲けることはできません…

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