前回は、「現金出納帳」の記入例と勘定項目を解説しました。今回は、お金の「公私」を明確にするための勘定科目の記載ルールについて見ていきます。

「事業主の私」と「個人の私」の借入を区別する

一般的な「勘定科目」のなかで、お金の公私の区別をつけるために覚えていただきたいのが、「事業主借」「事業主貸」です。

 

事業主借とは、言葉通り、事業主個人からの借入のこと。つまり、事業主の「私」が、個人の「私」からお金を借りたことを意味します。事業主貸は、その逆で、事業主個人への貸出になります。事業主の「私」が、個人の「私」に生活費を「貸した」際に使う勘定科目です。「?」となった方もいらっしゃるかもしれませんが、個人事業主の場合は、給与制ではなく、基本的に売上から経費を引いた残り、利益が生活費となります。

 

つまり、場面によって、事業用資金が個人のモノとなったり、逆に個人の資金が事業用資金となったりする。

 

こうしたお金の流れをクリアにするために、

 

●事業の資産から事業主個人へお金が移動した場合「事業主貸」

 

●「個人用のお金を事業用の資産として移動させた場合」、または「事業用の経費を個人のお金で支払った場合」は「事業主借」

 

として記帳するわけです。

1日の終わりに、出納帳残高と現金有高をチェック

この「事業主借」「事業主貸」は、個人事業主の際に適用される勘定科目で、法人の場合は「借入金」、一時的に立て替えた金額については、「立替金」と記入します。

 

日々、現金のやりとりについて現金出納帳をつけたら、1日の終わりに、出納帳の残高と現金有高(事業用財布の中に入っているお金の額)が合うかどうかをチェックし、もし一時的に個人で立て替えたお金があれば、事業用財布から個人の財布に戻しておきます。

 

それでも合わない場合は、出納帳の転記・計算ミス、記入もれなど、不一致の原因をしっかりとチェックしましょう。

 

こうしてお金の出入りの〝見える化〟を習慣化すれば、「何に使ったかわからないけど、手元の現金がなくなっていた!」という事態も防げまず。どんぶり勘定からも脱出できるはずです。 

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    本連載は、2017年2月24日刊行の書籍『どんどん貯まる個人事業主のカンタンお金管理』(幻冬舎メディアコンサルティング)から抜粋したものです。その後の法律、税制改正等、最新の内容には対応していない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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    櫻井 成行

    幻冬舎メディアコンサルティング

    個人事業主にとって、日々のお金の管理や確定申告は、頭を悩ませることのひとつです。忙しい仕事の合間を縫って、毎年〆切ギリギリに何とか税理士に資料を提出する、という人も少なくないでしょう。数字や計算が苦手な人は特に…

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