今回は、年金一元化後の「加入期間」の取扱いについて見ていきます。※本連載では、特定社会保険労務士の三宅明彦氏、三平和男氏、深澤理香氏の共著『年金・医療保険・介護保険のしくみがわかる本〔第2版〕』(法学書院)の中から一部を抜粋し、平成27年に一元化された年金、そして医療保険・介護保険のしくみや手続きの基礎知識を解説します。
加入期間が合算されるものと、されないもの
一元化により、原則は共済年金と厚生年金の加入期間は合算して要件をみるのですが、合算されるものと合算されないものがありますので、以下に記します。
【図表1】
加入期間の取扱いに関連する用語の説明
■加給年金額
配偶者がいる場合等の手当です。加入期間(共済年金と厚生年金)が20年以上ある場合に対象になります。配偶者がいる場合で年額390100円(平成28年度価額)です。
■中高齢寡婦加算
年金受給者が死亡した場合等で、妻が受給する場合の遺族年金に加算される加算額です。加入期間(共済年金と厚生年金)が20年以上ある場合に対象になります。年額で585100円(平成28年度価額)です。
■特別支給の老齢厚生年金の1年要件
老齢基礎年金の受給資格(25年)があり、加入期間(共済年金と厚生年金)が1年以上ある場合には、65歳前から老齢厚生年金が受給できます(男性では昭和36年4月1日生まれ以前、女性では昭和41年4月1日生まれ以前です)。
■長期加入者の44年特例
加入期間が44年以上あり、退職している(加入者でない)場合に支給開始年齢から定額部分も支給される特例(男性では昭和36年4月1日生まれ以前、女性では昭和41年4月1日生まれ以前)です。
【図表2】
社会保険労務士
法政大学社会学部卒業後、サラリーマンを経て、1992年に社会保険労務士資格を取得し開業。各金融機関や社会保険労務士会にて年金セミナー・年金研修・年金相談講師を主に行い、企業の労務管理や雑誌の執筆も行っている。
著者プロフィール詳細
連載記事一覧
連載老後に損をしないための「年金・医療保険・介護保険」の基礎知識
社会保険労務士
東京理科大学大学院理学研究科修士課程(応用物理学専攻)修了後、研究開発職に従事。2004年社会保険労務士資格取得。中小企業の労務管理、個人や行政機関での年金相談の他、社会保険労務士総合研究機構(全国社会保険労務士会連合会)にて労働や社会保障に係る研究テーマに取り組む。
著者プロフィール詳細
連載記事一覧
連載老後に損をしないための「年金・医療保険・介護保険」の基礎知識
社会保険労務士
明治大学法学部卒業後、銀行勤務を経た後、社会保険労務士事務所に勤務し、1990年社会保険労務士資格を取得。1993年独立開業。2012年には、明治大学大学院経営学研究科博士前期課程修了。現在、全国社会保険労務士会連合会代議員、東京都社会保険労務士会常任理事で研修委員長を務める。
著者プロフィール詳細
連載記事一覧
連載老後に損をしないための「年金・医療保険・介護保険」の基礎知識