「当然呼ばれるはず」孫の行事を楽しみにしていたが…
「お義父さんには、今回は遠慮してほしいです」
73歳の正一さん(仮名)のもとに、義娘からそんな連絡が届いたのは、孫の七五三を控えたある日のことでした。
正一さんは5年前に妻を亡くし、現在は一人暮らしです。会社員時代から住み続ける持ち家で、月約16万円の年金を受け取りながら生活しています。
一人息子の亮介さん(42歳・仮名)は、妻の美咲さん(39歳・仮名)、5歳の長女と3人暮らし。正一さん宅から車で40分ほどの場所に住んでいます。
正一さんは初孫である長女をかわいがり、誕生日やクリスマスにはプレゼントを欠かしません。
「お金を使ってやれるのも元気なうちだから」
そう言って、節句や誕生日など家族の行事にも積極的に参加していました。
内閣府『令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査』では、60歳以上の25.2%が子や孫の生活費を「ほとんど」または「一部」負担しています。また、今後優先的にお金を使いたいものとして「子や孫のための支出」を挙げた人は25.8%でした。
正一さんの場合、お金だけではありません。
孫の3歳の七五三では神社や食事会にも同行。誕生日会があると聞けば、「何か手伝うことはないか」と早めに息子宅へ向かいました。
ただ、正一さんには一つ癖がありました。自分がよかれと思ったことを、先回りして決めてしまうのです。
3歳の七五三では、写真撮影の途中で孫が疲れてぐずると、「せっかく着物を着たんだから、もう少し撮ろう」と撮影を続けるよう促しました。
誕生日会では、息子夫婦が小さなケーキを用意していると知り、「それじゃ寂しいだろう」と別のケーキを買ってきたこともあります。
孫が抱っこを嫌がっても、「じいじのこと忘れたのか」と笑いながら離さないことがありました。
美咲さんが「もう下ろしてあげてください」と言えば応じます。しかし正一さん自身は、問題になっているとは思っていませんでした。
今年、孫は7歳になります。正一さんは当然、七五三にも呼ばれるものだと思い、「今年は何日にするんだ?」と息子に尋ねました。
亮介さんからは「まだ決めてない」とだけ返ってきます。
数日後、届いたのは美咲さんからのLINEでした。
「七五三ですが、今回は私たち3人だけで行こうと思っています。申し訳ないのですが、お義父さんには今回は遠慮してほしいです」
