(※写真はイメージです/PIXTA)

退職後に旅行や趣味を楽しみたいと考え、現役時代からお金を貯めている人もいるでしょう。一方、高齢期には医療費や住宅の修繕など、先の読みにくい支出もあります。「元気なうちに使いたい」という思いと、将来への備え。その間で、お金の使い方に迷う人は少なくありません。

「もう少し残してもよかったかな」帰国から3年で変わった感覚

ところが、帰国後の暮らしで少しずつ気になることが出てきました。旅行前には約2,500万円あった金融資産は、帰国時には2,000万円を下回っています。

 

さらに翌年、給湯器が故障。エアコンも買い替えました。日々の生活費も年金月14万円だけですべて賄えるわけではなく、月によっては預貯金から数万円を補います。

 

68歳になった現在、金融資産は約1,750万円になりました。

 

「500万円使ったことを後悔してる?」

 

長女にそう聞かれた恵子さんは、「旅行そのものは全然後悔してない」と答えたうえで、こう続けました。

 

「でも、900万円入ったから500万円使っても大丈夫、っていう考え方はちょっと単純だったかな」

 

内閣府の同調査によると、60歳以上の現在の生活費は月平均20.6万円、中央値20万円。さらに「無理なく生活するために必要」と考える生活費は平均24.8万円、中央値25万円となっています。なお、この生活費には家賃や住宅ローンは含まれていません。

 

恵子さんの場合は持ち家で住宅ローンもありませんが、設備の交換やマンションの管理費・修繕積立金などの支出は続きます。

 

現在は年に一度、国内旅行へ行く程度。普段の生活を極端に切り詰めているわけではありませんが、以前のような長期海外旅行は予定していません。

 

相続についても注意が必要です。国税庁によると、相続税の基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算され、被相続人から受け継いだ財産全体などをもとに申告の要否を判断します。

 

恵子さんは今も、旅先で撮った写真をリビングに飾っています。

 

「あの半年があったから、仕事を辞めた後の人生が始まった感じはします。だから使わなければよかったとは思わない。ただ、帰ってきた後の生活ももっと具体的に計算しておけばよかったですね」

 

相続などでまとまったお金が入ると、それまで諦めていたことを実現するきっかけになる場合があります。一方、高齢期には、その後の生活が何年続くのか、住宅や医療にいつ大きな支出が生じるのかを正確に予測することはできません。使う金額を決める際には、実現したいことの予算だけでなく、実行後に残る資産と毎年の収支まで確認しておくことが大切です。

 

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