「いつまで3人で暮らすの?」半年後、妻が初めて聞いたこと
同居を始めて半年ほど経ったある夜、由美さんが夫に尋ねました。
「お義母さん、いつまでいるの?」
浩一さんは「分からない」と答えました。すると由美さんは、
「私も分からないままなのが一番困るの。ずっと3人で暮らすなら、それはそれで考えなきゃいけないでしょう」
と言いました。浩一さんは、そのとき初めて、母との同居を「一時的なこと」と考えているのは自分だけかもしれないと気づいたそうです。
母には一度も帰る時期を聞いていませんでした。妻にも「しばらく頼む」と言っただけです。
一方、文子さんも、息子夫婦が困っているとは考えていませんでした。
「一人でいるより、ここにいたほうがあなたたちも安心でしょう?」
そう言われ、浩一さんは否定できませんでした。安心なのは事実です。
ただ、そのために夫婦の予定をいつまで変え続けるのかは、別に考える必要がありました。
夫婦はまず、文子さん本人と話をすることにしました。
そこで初めて分かったのは、文子さんが元の家へ戻りたくない一番の理由は、体調ではなく「また一人になるのが不安」ということでした。浩一さんは、母をすぐ実家へ戻すのではなく、今後の暮らし方を一緒に考えることにしました。
文子さんの自宅近くで利用できる高齢者向けの生活支援について調べ、定期的に息子が訪ねる日も決めました。文子さん自身も「それなら一度戻ってみる」と納得し、同居から約8ヵ月後、自宅での生活を再開しました。
由美さんも、必要なときに再び泊まりに来ることまで拒んだわけではありません。ただし今度は、「何のために来るのか」「いつごろまでなのか」を最初に3人で確認することにしました。
「母を家に呼んだことを後悔しているわけではありません。あのときは必要だったと思います。ただ、『少しの間』をそのままにしていたのがよくなかった。母にも妻にも、僕が確認するべきだったんですよね」
高齢の親を支える方法は、同居だけではありません。親の状態や利用できるサービス、家族の生活によって適した形は異なります。
一時的な同居であっても、長引けば家族それぞれの生活に影響します。親を迎えるときには、目の前の困りごとを解決するだけでなく、「いつまでを想定しているのか」「状況が変わったらどうするのか」まで話しておくことが、無理なく支え合うために必要でしょう。
【関連記事】
■月20万円もらえるはずが…45歳・サラリーマン「ねんきん定期便」に抱いた違和感。「年金ルール」知らずにそのまま20年…65歳で受け取ることになる年金額に唖然「何かの間違いでは?」
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

