「こんなに持っていたのか」元の家へ戻って感じた違和感
夫婦は少しずつ物を整理し始めました。子どもたちにも連絡し、残しておきたい物を確認。処分するもの、譲るもの、残すものに分けていきます。
片付けが進むにつれて、使っていない部屋には、今の夫婦の生活には必要のない物が多く置かれていたことも分かりました。
ある日、久美子さんが夫に言いました。
「私たち、こんなに広い家じゃなくてもいいのかもしれないね」
以前なら和彦さんは反対していたでしょう。しかし、2ヵ月の仮住まいを経験した今では、「狭くなったら不便」という不安は以前ほど大きくありませんでした。
夫婦が探したのは、同じ沿線にある1LDKからコンパクトな2LDKです。
最終的に選んだのは、約55平方メートルの1LDK。リビングが広めで、寝室との間には引き戸があります。管理費や修繕積立金、固定資産税などを確認したうえで住み替えを決めました。
引っ越し後、子どもからは「本当に1LDKで大丈夫?」と心配されたそうです。
困ったのは、家族が泊まりに来たときでした。
以前のように一部屋を客室にはできません。そこで子ども一家が泊まりで来るときは、近所のホテルを利用してもらうことにしました。
「最初は、親の家なのにホテルに泊まってもらうなんてと思いました。でも、年に何回かのために、一年中一部屋を空けておく必要もないのかなと」
その代わり、普段使うリビングには少し大きなテーブルを置きました。家族が遊びに来れば、そこで一緒に食事をします。
久美子さんは、今の暮らしを「使わない場所がなくなった」と表現します。
「広い家に住むことが贅沢だと思っていたんです。でも今は、必要なものがすぐ手に取れて、掃除も早く終わって、その分ゆっくりお茶を飲める。私にはこっちのほうが贅沢ですね」
広い住まいには、収納や来客への対応など多くの利点があります。一方、家族構成が変われば、以前必要だった部屋を使わなくなることもあります。
何平方メートルあれば十分なのか、その答えは家庭によって異なります。部屋数や広さだけで判断するのではなく、普段どの場所を使い、そこでどのように過ごしているのか。今の暮らしを基準に住まいを見直すことで、自分たちに必要な広さが見えてくることもあるでしょう。
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