月に数回来ていた孫が、2ヵ月に1回に…突然空いた夫婦の週末
「孫が来る日は、朝から楽しみでした。今日は何を食べさせよう、どこへ連れていこうって」
そう話すのは、71歳の洋子さん(仮名)です。同い年の夫・正弘さん(仮名)と2人で暮らしています。
夫婦には42歳の一人娘がいます。娘は夫と小学6年生の息子との3人暮らしで、車で30分ほどの場所に住んでいます。
孫が幼稚園に入ったころから、祖父母宅へ遊びに来る機会が増えました。娘夫婦に用事がある日に預かることもあれば、孫本人が「おばあちゃんの家に行きたい」とやって来ることもあります。
土曜日の昼前に迎えに行き、そのまま泊まって日曜日に送る。夏休みには数日間泊まることもありました。
洋子さん夫婦にとって、それは負担というより楽しみだったといいます。
水族館へ連れていったり、庭でプールを出したり、好きな料理を作ったり。夫婦の年金収入は月約28万円で、孫と出かける費用も家計に無理のない範囲で出していました。
ただ、いつしか夫婦の予定の立て方が変わっていました。友人から土曜日の食事に誘われると、洋子さんはまず娘に連絡します。
「今度の土曜日、何か予定ある?」
孫が来る可能性がないと分かってから、自分の予定を入れるためです。
正弘さんも同じでした。以前は月に何度か参加していた釣り仲間の集まりも、「孫が来るかもしれないから」と断ることが増えていきます。
娘から毎週預かってほしいと頼まれていたわけではありません。それでも夫婦のなかでは、週末を空けておくことがいつの間にか習慣になっていました。
「せっかく近くに住んでいるんだから、会えるときに会いたいと思っていたんです。孫も喜んで来てくれていましたしね」
そんな生活が5年ほど続きました。
ところが、孫が小学5年生になったころから状況が変わります。
友達と遊ぶ約束が増え、習い事も忙しくなりました。週末に祖父母宅へ泊まりに来る回数は、月に数回から、2ヵ月に1回ほどへ減っていきます。
ある土曜日の朝、洋子さんは夫に聞きました。
「今日、何する?」
正弘さんは新聞を読みながら、「何も決めてないな」と答えました。夫婦とも予定はありません。けれど、その日、孫が来る予定もありませんでした。
「時間ができたというより、ぽっかり空いた感じでした。今まで土日は孫が来るかもしれないと思っていたから、自分たちが何をしたいかをあまり考えていなかったんです」
内閣府『令和7年版高齢社会白書』によると、直近1年間に何らかの社会活動へ参加した65歳以上の人のうち、生きがいを「十分感じている」または「多少感じている」と答えた人は84.6%でした。いずれの活動にも参加しなかった人と比べると23.0ポイント高くなっています。
