「日曜日は出かけるから」夫婦が優先した自分たちの予定
最初のうち、洋子さんは孫から連絡がない週末を寂しく感じていました。
「もう、おばあちゃんの家より友達のほうが楽しいんだね」
冗談交じりに夫へそう話したこともあります。
正弘さんは「そりゃそうだろう。もう大きいんだから」と笑いました。その言葉を聞いて、洋子さんも「それなら私たちも好きなことをしようか」と思ったそうです。
まず再開したのは、友人との付き合いでした。以前よく会っていた友人に連絡すると、「最近忙しいのかと思ってた」と言われました。
正弘さんも釣り仲間の集まりへ再び参加するようになります。夫婦でも、日帰りで少し遠くまで出かけるようになりました。
ある日、娘から「来週の日曜日、そっちに行ってもいい?」と連絡がありました。その日はすでに夫婦で美術館へ行く予定を入れていました。
以前の洋子さんなら、予定を変更していたかもしれません。しかし、そのときは「日曜日は出かけるから、土曜日ならいるよ」と返信しました。
娘からは「じゃあ土曜日にする」と返ってきただけでした。
「それまで、孫が来るなら私たちが合わせるものだと思っていたんですよ。でも、予定があるなら別の日にすればいいだけだったんです」
総務省『家計調査報告〔家計収支編〕2025年平均結果』によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、1ヵ月の消費支出は平均26万3,979円。このうち教養娯楽費は2万6,538円、交際費は2万3,257円でした。
洋子さん夫婦は、孫に使っていたお金をそのまま自分たちに使うようになったわけではありません。変わったのは、お金より時間の使い方でした。
今では先に自分たちの予定を入れ、孫が来る日はその予定の一つとして楽しんでいます。
「会う回数は減りました。でも、来た日は前より『今日は一緒に何をしよう』と思える気がします。待っているだけじゃなくなったからでしょうね」
孫の成長に伴って、祖父母との過ごし方が変わるのは自然なことです。その変化を寂しく感じることもあるでしょう。
一方、子どもや孫を中心に組み立ててきた生活が変わったときは、夫婦それぞれが何をしたいのかを改めて考える機会にもなります。家族との時間を大切にしながら、自分たちの予定も後回しにしない。そうしたバランスを探していくことが、長く続く家族関係にもつながるのかもしれません。
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