(※写真はイメージです/PIXTA)

配偶者を亡くした後、子どもや孫との付き合い方が変わることがあります。以前は夫婦で参加していた家族の集まりにも、一人になると遠慮が生まれる場合があるでしょう。相手から距離を置かれたわけではなくても、「自分まで行っていいのだろうか」と考え、誘いを待つようになることもあります。

「お義父さんの分も用意してあります」誕生日会で気づいたこと

正雄さんは「家族でやるんじゃないのか」と聞き返しました。すると浩介さんは、「父さんも家族だろ」と笑ったそうです。

 

それでも正雄さんには、少し迷いが残っていました。

 

以前なら妻と2人で向かっていた長男宅へ、一人で誕生日会に参加する。自分だけが場違いにならないかという気持ちがあったからです。

 

当日、正雄さんが長男宅を訪れると、テーブルには料理が並んでいました。長男の妻が「お義父さん、こっちに座ってください」と椅子を引きます。

 

「お義父さんの分もちゃんと用意してありますよ」

 

正雄さんが「悪いね、俺まで」と言うと、「何でですか。毎年来てたじゃないですか」と返されました。

 

その言葉に、正雄さんは少し驚いたといいます。

 

「私が勝手に『一人になったんだから、少し引いたほうがいい』と思っていただけだったんです」

 

誕生日会では、孫がケーキのろうそくを吹き消し、正雄さんも一緒に写真を撮りました。帰り際、孫から「来年も来てね」と言われました。

 

それ以降、正雄さんは長男一家から誘われても、以前ほど反射的に断らなくなったそうです。もちろん、すべての予定に参加するわけではありません。

 

「今度の日曜日はどう?」と聞かれ、囲碁の予定があればそちらへ行きます。長男一家だけで出かけたい日もあるでしょう。

 

変わったのは、「自分が行けば迷惑だろう」と最初から決めつけなくなったことでした。

 

「妻が亡くなって、自分の立ち位置まで変わったような気になっていました。でも、息子たちからすれば、そこまで変わっていなかったみたいです」

 

配偶者を亡くした後、これまで夫婦単位で続けてきた人付き合いや家族との関係が変化することはあります。ただ、その変化を周囲も同じように捉えているとは限りません。

 

相手への配慮から距離を取ることが、結果として交流の機会を減らす場合もあります。「誘われたら参加する」「行ってもいいか尋ねてみる」など、自分の希望を言葉にすることも、家族との関係を無理なく続けていく方法の一つでしょう。

 

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