買収で仕入れ価格などを低減
今回、飲食業界のM&Aを仲介するM&Aプロパティーズ(東京都新宿区)が、全上場企業に義務づけられた適時開示情報などから1〜6月期、飲食業界におけるM&A実績を独自に集計した。案件は公表時期ではなく、株式取得が完了した時期(クロージング日)を基準に各期へ計上している。
それによると、規模が最も大きかったのは、コロワイドによるシーユナイテッドの買収で、買収額は約440億円にのぼった。コロワイドは買収の効果について、「当社グループの既存FC企業と連携することによるFC開拓・出店の強化、および仕入価格・物流費用の低減などを通じ、対象会社および当社グループ双方のさらなる事業価値向上を見込んでいる」としている。
次に大きかったのは、すかいらーくホールディングス(HD)による、定食チェーン「しんぱち食堂」を運営するしんぱち(東京都港区)の買収で、額は約110億円だった。すかいらーくHDは2024年にうどんチェーン「資(すけ)さんうどん」を約240億円で取得するなどM&Aを推進しており、強固な事業基盤の確立とともに、収益力と成長力を一段と高める方針だ。
買収の大きな理由となったのが、しんぱちが都心部の狭小立地において高い坪効率と収益性を両立している点だ。すかいらーくHDは買収により「当社が推進する都市型出店戦略を飛躍的に加速させ、立地リスクの分散と収益構造の最適化を図る」としている。原材料費の高騰が続く中、買収対象に対して高い収益性や生産性を重視する外食大手の姿勢が読み取れる。
値上げラッシュ続く 原材料高に対抗する「戦略的M&A」
第3位は松屋フーズホールディングスによる松富士の完全子会社化で、買収額は約91億円だった。松富士は関東を中心に「六厘舎」や「舎鈴」などの人気ラーメン店を直営しており、埼玉県にはセントラルキッチンも保有している。第4位はラーメンチェーンの魁力屋によるエムピーキッチンホールディングスの子会社化で、約51億円だった。
帝国データバンクによると、主要な食品メーカー195社の家庭用を中心とした9月の飲食料品値上げは4,923品目、1回あたりの平均値上げ率は11%だった。単月の値上げ品目数としては今年最多となり、深刻な値上げラッシュとなった。要因別では「原材料高」によるものが90.7%を占め、全体の中で最も高くなっている。
中東情勢の混乱などを背景に原材料高の解消は見通せず、飲食業界が戦略的M&Aを通じた生産性の向上やコスト削減を目指す動きは、今後も続きそうだ。
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
【注目のセミナー情報】
【資産防衛】10月14日(水)オンライン開催
約30年ぶりの世界的金利変動が生み出した
新たな「お宝保険」の全貌
【国内不動産】10月17日(土)
実質利回り15%前後を狙う「トランクルーム投資」とは?
住宅価格・家賃高騰で高まる「収納ニーズ」
